2008年2月1日金曜日

半島を出よ

すごかった。語彙の少ない私にはどう形容してよいものやら。文庫の解説が私の大好きな島田雅彦さん、その彼をしてもあの迫力をアナライズし切れていないような(ごめんなさい!!)。筆舌に尽くしがたい壮絶なクライマックス、’美しい時間’のチャプター。

おそらくあれが映画だったら見ていられないと思う。例えば、
  • レザボア・ドッグス×200人分;お耳のシーンはトラウマなのだ。
  • サム・ペキンパー+メル・ギブソン;ペキンパーさんのスローモーションバイオレンス、メルさん最近の映画。
  • グッド・フェローズ+ゴッドファーザー;今まで和やかだったのに、突然飛び散る血しぶき・・。
を、全部足したような地獄絵図が繰り広げられるのである。ド迫力と繊細な描写が延々と続く。頭に情景を思い浮かべるとコワイ夢を見そうだし、武器だの建築だの専門的なところはどうしても理解不可能。渾身の一文字一文字がもったいないが、この際テンポを崩したくない。わからないところは字面だけを追ってとにかく読み進む。するとそこで起きている残酷な描写は、いつの間にか若者たちの魂の高まりを伝えるための大切な脇役に取って代わる。そして、私は道徳とか正義とか暴力とかではなく、現実的には受け入れがたいはずの若者たちの姿に、ただ、ただ、涙が出てしまった。

「あんたの意見なんていらないでしゅ~。」っていうイシハラさんの声が聞こえそうなので、とにかくすごいものを読み終わったことを記しておこう。

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