2013年10月25日金曜日

アムステルダム 市立近代美術館

今年の夏休みはベネルクス・ジャーマンパスで電車の旅。
頭で寝かせた思い出、忘れないうちに綴ってみる。

ロンドンからユーロスターでドーバー海峡を渡り、ブリュッセルを半日観光してブルージュに泊り、アムステルダムに。中心部は徒歩と路面電車で観光が楽しめる。滞在した2泊3日は電車と博物館がセットになった48時間チケットを購入、フルに使って夏の終わりのアムステルダムを満喫した。

まずは、「アムステルダム市立近代美術館」。
19世紀終わりに建てられた16世紀オランダルネサンス様式のヴァイスマン・ビル(左/レンガ作りの建物)と、2012年に改修を終えたベンサム・クロウェル・ウイング(右/白の建物)という全く異なる2つの建造物からなっている。

(写真:John Lewis Marshall)
新ウイングはご覧のとおりで「バスタブ」と呼ばれており、デザインには賛否両論あったようだ。私は一目で気に入ってしまったのだが。1階部分はガラス張りでエントランスとカフェ。ガラス効果で”バスタブ”が宙に浮いているように見える。

近代的な正面玄関から少し行くと、真っ白な壁に挟まれた荘厳な階段(写真下)が表れる。す、好きだこの階段。で、「なんか入口と雰囲気が違うな~」と・・・。しばらくして隣の曾おじいさん建物(左)とひ孫建物(右)とは繋がっていたことに気づく(予習していなかったからね)。エクステリアの新旧コントラストから見ると、インテリアの統一感は絶妙だ。

ヴァイスマン・ビルは今まで行われてきた改築や増床でその姿を変えてしまっていたが、今回の改修で当初のネオ・ルネッサンスのデザインがよみがえったそうだ。
細部まで心の行き届いた内装、そこに照明と自然光が実に巧みに使われている。大きな窓には半透明のスクリーン、外の風景が絵画のようだ。ああ、このセンスの良さ!

実に贅沢な階段

階段の上
窓の向こうには伝統的な建物

































そんな完璧な空間に選び抜かれた近代絵画、工芸がゆったりと整然と展示されている。空気を吸うように作品を体に取り込むことができる。まさに天国。住み込みさせていただきたい・・・

ゆったりとした空間
人が入ると天井の高さがわかる
美術館を出て、上を見上げると午後8時とは言えまだ明るい。”バスタブ”の向かい側にある壁に目をやると、目をおっきく開けたおじさんの顔、壁の上の青空に浮かぶ白い雲を背景に、一匹の黒い鳥。鑑賞の余韻が楽しめる素敵な空間だ




2013年10月22日火曜日

我が家の高校生 その3

満月の夜でもないのに、家の近所に「狸」が表れたとご近所さん。目がキラリンと光る写真を見ると、確かに犬でも猫でもない。山もないのにいったいどこから現れたのか。
さっそくワカに教えた。
すると、「ぼくはね、ヒ・ラ・イ・シ・ンを見たんだよ!」と言う。
ちゃんと人の話を聞いていたのだろうか?無機物の話題に振られても、こっちは有機物の話しをしているのだよ。
「電線の上を歩いていたんだよね~」

ああ、それはハ・ク・ビ・シ・ン

2013年10月15日火曜日

The Company You Keep  ランナウェイ/逃亡者

ロバート・レッドフォード監督・主演。「明日に向かって打て」が私の中のRR。御年77歳と聞くと、なんとなし寂しさが漂ってくるけれど、御本人は意欲的だ。

1960年代アメリカで大きなうねりとなったベトナム反戦運動は、やがて一部の学生が過激化し、その過激派グループ「ウェザーマン」は連続爆破や銀行強盗殺人を起こす。そのかどでFBIに追われ、メンバーは散り散りになり、本名を隠しふつうの生活に身を潜める。それから30年、メンバーの1人シャロン(スーザン・サランドン)は逃げることに疲れ、自首のような形で逮捕される。一方、斜陽の新聞会社ではシャロンの逮捕の記事を指さし、これがスクープだ!と編集長が若い新聞記者ベン・シェパード(シャイア・ラブーフ)のお尻を叩く。へらへらと乗り気ではなかったベンは、取材を続けるうちに優秀な弁護士ジム(ロバート・レッドフォード)に出会うがほどなくジムは逃亡し、今度は編集長が止めるのも聞かずベンはジムの行方を追い始める。それはベンにとってもジムにとっても反戦運動に参加したかつての若者たちの今の姿に出会う旅でもあった。

冒頭、シャロンはテロ行為と誹られた反戦運動について、「合法の元で若者を戦地へ送り出す国家の殺人は決して許されるものではない。」と、とうとうと語る。若い新聞記者のベンはその言葉に何かを感じ取り、体制派の意見に片足を残しながらも、次第に反戦に身を投じた若者達の世界にのめりこんでいく。

ベンの取材がストーリーテラーとなるのだが、興味深いのはウエザーマンのメンバーは警戒しながらもジャーナリストを敵とは見ていない。ジャーナリズムの中立に希望さえ持っているようだ。本来はジャーナリズムとはそういうものなのに、この構図が新鮮に見えてしまう私・・・。RRはかつて「大統領の陰謀」で真実を告発する若きジャーナリストを演じたが、今回ジャーナリストに真実を述べるのを最後まで拒む役だ。


FBIはテロの原因を知ろうともしない、ウエザーマンで中核にいたミミ(ジュリー・クリスティー)は大義のための犠牲に目を背けたままだ。そしてマスメディアは人の生活などおかまいなしで、「どうでもいい真実」で人の好奇心をあおりたてる。ベンが自分の役割に気づき、本来あるべきジャーナリズムに目覚めるシーンに安堵、真実と本質は似て非なるものだ。

若いころマクロに広がった平和への思いは、時とともに家族の平和というミクロな世界にいきつく。それが成熟なのか、諦念なのか。暴力では、戦争では、何も解決できない。

2013年9月24日火曜日

劇場映画 4月~8月

久しぶりのブログ。

4月から9月まで見た映画一覧。どうにか見た映画は拾い上げたけれど、感想文書いておかないと見たそばから忘れてしまう。どうにか記憶をかき集め・・・。
10月からは脳トレもかねてまた感想文を書こう。

ヒッチコック
 アンソニー・ホプキンスがヒッチコック役で、妻役のヘレン・ミレンがかっこいい

天使の分け前
 ケン・ローチ監督作品。ウイスキーは熟成するとどんどんおいしくなるけれど、毎年2%ほど蒸発して失われていく。それを「天使の分け前」という。この映画には数多くの「分け前」があって、私も、もらった気分。

ウィ・アンド・アイ
 NYの公共バスに乗り合わせた高校生たちの姿。しかし、おばさんはお行儀が気になっちゃって~。公共交通機関はきれいに使おう

ジャッキー・コーガン
 ブラッド・ピットが殺し屋で、とにかくみんな痛そうだった。一番悪いのは誰だ。
 
イノセント・ガーデン
 ニコール・キッドマンが色っぽいお母さん役。映像はきれいなんだけど、もったいぶっている感。

ジェシー∞セレステ
 クインシー・ジョーンズの娘ラシダ・ジョーンズがキュート。それにしてもえ切らない2人、にちょっかいが出したくなる私。 

グランド・マスター
 ウォン・カーワイ∩トニー・レオンとくればかっこ良くないわけがない。チャン・ツィイーは本当に美しい創造物だ。

ローマでアモーレ
 ウディ・アレン監督、お風呂でオペラ。ああ、ヨーロッパ!これは笑える

ギャツビー
 バズラーマン監督はいつも動きがあって華やかで。デ・カプリオの決め顔、あれではフィリップ・シーモア・ホフマン。

モンスターズ・ユニバーシティ
 やっぱり楽しいピクサー。でもインクの方がスキかな~。

ワイルドスピード ユーロミッション
 これには理屈はいりましぇん。とにかく今回もすごいことになっちゃって、笑えるよ。

ワールドウォーZ
 殺しても死なないゾンビ、墜落しても死なないブラピ。

25年目の弦楽四重奏
 これは素晴らしい脚本。クリストファー・ウォーケンが立派なチェリストで、フツーの役を!パブロ・カザルスの逸話には感動する。

風立ちぬ
 子どもには絶対わからん、大人の映画。クレジットで流れるユーミンの音が外れた歌がこれほどまでにマッチするとは!

NY恋人たちの2日間
 ジュリー・デルピー監督&主演、いろんな意味で貫録が。ウディアレンぽいコメディ。

マジックマイク
 スティーブン・ソダーバーグ監督。ああ、マシュー・マコノヒー!とにかくコイ、濃い映画なのに、胃がもたれないのは監督の手腕か?

ペーパーボーイ
 もう一回、マシュー・マコノヒー!ついでに、どうした、ジョン・キューザックー!でもって、ニコール・キッドマン!一番若いザック・エフロンが一番静か。全体的に、暑苦しくて重い空気がどよよ~ん。

トゥ・ザ・ワンダー
 テレンス・マリック監督。ベン・アフレック眠そうだけど、意外といい、いい。人間ではなく、風景の中に心情を映し出す、映像美だけではない深みにどっぷり。

オン・ザ・ロード
 セントラルステーション、モーターサイクルダイアリーズのウォルター・サレス監督。昔の青春はすごい、あ、人によるのか。若手俳優が上手い。

サイド・エフェクト
 ジュード・ロウ、キャサリン・セタ・ジョーンズに負けないルーニー・マーラー。それにしてもソダーバーグ監督、ほんとにこれで劇場映画終わりにするの?

スタートレック イン・トゥ・ダークネス
 出演者はみんなかっこいいけど、結構突っ込みどころ満載。でもTV版のすごさ(別の意味の)には負けるかな。

エリジウム
 第9地区では人種問題、今回は経済格差問題。同じCGでも独創性を感じるし、テーマに一本筋が通っていて、いいね。

ワーム・ボディズ
 アバウト・ア・ゾンビ。それにしてもニコラス・ボルト君、スマートになったなぁ。これだけゾンビ映画花盛りだから、ゾンビ側からのアプローチも大切よね。

で、一番この中で好きな映画は「天使の分け前」。希望にあふれたこんなケン・ローチも素敵だ。そして、この映画を最後に銀座テアトルシネマは閉館した。



2013年8月9日金曜日

好きなことって、大事

心躍るバレエのレッスン。

しか~し、心ほど踊らない体。まず脚が上がらなくなった。特にアラベスク(後ろに足を上げる)というポーズがあるのだが、これがああミゼラブル。それから回転。目が回らないように、一点を見つめながら回るのだけれど、まったくカンが戻らない。

とは言えよくなったところもある。バレエは脚を常にターンアウトする。ターンアウトとはウチマタの反対、でもガニマタではない。正しくは脚というよりもおなかの中から開く、そうすれば股関節も膝も足首も炒めない。これが以前より楽になり、1番から5番までの基本ポジションが決まりやすくなった。そして、「気持ち」。技術的なこと、例えば、脚を高く上げるとか、たくさん回るとか、高く跳ぶとか、は求めない。脚を高く上げなければ、回転が少なければ、音楽が長く使えるわけで、その分丁寧に動くことができる。そこに”できているつもり”という「気持ち」をプラスする。イメージトレーニングみたいなものかな?

若いころはこの「気持ち」、がいつも前のめりになっていたなぁ。体と気持ちがぎくしゃくしてね。今はなんと楽しく踊れることか。自分が唯一自由に使える身体、しかし、思うように動かすのがなかなか難しい。ン十年を経てもまだまだ自分の体から学べることはいっぱい。好きだから続けられる、これからもずっと。

現在沢山の素晴らしい日本人ダンサーが世界中で活躍している。その中の一人金子扶生(ふみ)さん、昨年度末の英国ロイヤルバレエ「くるみ割り」で大抜擢。添付の動画はリハーサル風景。


2013年7月17日水曜日

我が家の高校生 その2

お弁当に始まってお弁当に終わった(私だけか・・・)高校一年生の一学期。今週で期末テストも終了、楽しい夏休みもすぐそこ。

夕食の時、期末テストから始まって、数学の話題になった。サイン・コサイン・タンジェントとか、微分・積分とか、なんとかかんとかの説明を始める我オット・・・。な、な、なんと全部覚えているのだ!オドロキ・・・(株価上昇)。ワカはというと、会話が続いているところを見ると、理系頭のようだ。私はアウェー。

で、ワカに「おとーさんの頭に似たんだね。」と言うと、ワカは「えっ、似るのかなぁ・・・」 と言いながらオットの頭(ウスイ・・・)を見る。「あ、頭の内側、内側!」と思わず言ってしまう私。

オットは、自分の頭の内側と外側の評価が分かれ反応がどっちつかず、「ひどい~」と言いながらも嬉しそうだった。

2013年6月28日金曜日

原発廃炉について

まずは昨日の日経の記事


「福島第1原発の廃炉費用、電気料金算入を検討 経産省」

2013/6/25 日本経済新聞

経済産業省は東京電力福島第1原子力発電所を含めた原発の廃炉費用の一部を、電気料金に算入する検討に入った。従来は廃炉中の設備を安定させる費用のみ算入を認めていたが、廃炉のために導入する設備の減価償却費も認める方向で検討する。事故を起こした福島第1原発は対象外とする意見もあったが、算入を認めることで廃炉作業を円滑にする狙いがある
 経産省は25日、原発を廃炉するための会計制度を整備する作業部会で、廃炉費用の負担のあり方について議論を始める。従来は40年未満しか稼働していない原発を廃炉すれば巨額の除却損が発生する一方、除却損は電気料金に算入できなかった。電力会社は除却損による財務の悪化を避けるため、廃炉を決断できなくなる恐れがあった。(以下省略)
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経産省が電力会社に廃炉を促しているのはいいこと、でも、あらためて長期計画というものがなかったのだ、とアングリ・・・。40年未満しか稼働していない原発を廃炉すれば巨額の除去損がかかるって、じゃあ、40年以上の原発の廃炉は織り込み済みなので大丈夫なんですね。
40年以上であろうが未満であろうが建設したらいつかは廃炉になるわけで、「廃炉のために導入する設備」が必要だなんていうことは専門家だったらわかっていたことですよね。フツ~に準備金なり積立金なりしておくものでしょう。

そんな中でじわじわと上がる電気代、「シェールガス革命だ」などど言っているけど、今はまだ円安で燃料代が高いって。あの~、半年前まではズ~ッと円高だったではないでしょか。
そして、そして、電力会社の株主総会では「脱原発」提案は、沖縄電力を除く8社ですべて否決された。と、いうことは東電でも否決されたということだ。ナンタァルゥチィア~!!

しかし私たちの生活も少しずつゆるくなり始めている。震災直後は暗かった駅の照明や街灯はまた元の通り明るくなり、昼間の電車内も蛍光灯が全部スイッチオン、ビルだってエレベーターが全機動いている。自らを振り返ってもあの時のショックは薄れかけている。消費者として真剣に考えなくては。

大人としてとっても責任を感じるのだけれど、どうしたらいいのだろう、なさけない・・・。

2013年6月13日木曜日

電子レンジやめて、蒸し器

電力会社は電力需要を契約電力から予測する。契約電力というのは使う電力の合計ではなく、家にある電気製品を同時に一番多く使用した電力の最高値をもとにしている。例えば、ある真夏の日、台所では食洗機と炊飯器と電子レンジと電気ポット、洗面所では洗濯機とドライヤー、居間ではテレビ、部屋ではパソコンとステレオ、そしてその全部の部屋のクーラーがON。マックスで家電製品を使うときに合わせて契約電力が決められるわけだ。そのマックス電力を記録した同じ日でも、人が家にいなければ冷蔵庫が一人さみしく活動しているだけのときだってある。今の家に入居するときは何も聞かれず施工業者が60Aを契約していた。

震災の後、節電を心がけながら、契約電力も見直した。契約電力を減らす家庭が多いと新聞で読んだので、この調子でいけば家庭の電力需要予測も減るだろうと思えた。我が家は60Aから40Aに変更することにした。夏場は電力不足が叫ばれていたので歓迎されると思いきや、電力会社の人は50Aにしておいてはどうですか?と言ってたなぁ。我が家は電気ポットも炊飯器もないし、電力会社のHPでシュミレーションしたから、40Aにしてからも一度もブレーカーは落ちていない。とは言え、夏場は2人の暑がり男達クーラーがないと大変なことになるので、冷房中は電子レンジに気をつけなくてはと思っていた。

さて先月、4月分の電力料金を見ると前月から約2千円も上がっていた。すごい値上げではないか!と腹が立ちそうになったのだが、しかし、ちょっと考えて、チ~ン!思い当たるフシがある。電子レンジ。4月に入ってお弁当作りが始まり、電子レンジの出番が各段に増えたのだ。毎朝、冷凍ご飯をチン、野菜もチン、魚も「魔法のお皿」でチン。すっかり消費電力のことなど忘れてしまっていた。反省。

そこで電子レンジを極力使わず、蒸し器を使うことにした。前の晩冷凍庫から冷蔵庫に移して半解凍しておけば、ラップで包んだご飯160グラムx2位の量だったら、お湯が沸騰してから約5分でふっくらと炊き立てのようなご飯に仕上がる。電気を使わなくてもガスを使っているわけだから無駄にしないよう、蒸し器の下段も利用して同時に卵や野菜を一緒にゆでる。

冷凍ごはん160グラムを解凍するのに3分20秒x2回で約7分、副菜をチンしたらプラス数分。お湯が沸騰するまでの時間を考慮しても、蒸し器を使うことによって調理時間が伸びるということはない。洗い物は増えるのではあるが。こうしてひと月、極力電子レンジを使用しないでお弁当を作ってみた。そしたら5月分の電気料金はしっかり2千円弱安くなっていた。電気使用量を減らしたこの爽快感。

ガス代はまだ見ていないけれど、ガスレンジよりもガス湯沸かし器の温度設定が肝心かと思われる。我が家の男連中は暑がりでシャワー温度はなんと35度。サブッ。だから夏はいつもガス代がかなりお安くなる。上手な家庭でのエネルギーミックスを実現してみたい。今年の夏の節電は一昨年、去年ほど騒がれていないけれど、私ができるのはこれくらい、細々と続けていこう、節電。

2013年6月5日水曜日

クイジナートフードプロセッサーでフォカッチャ

先生のお人柄と技術、気のおけない友人との”試食”&”おしゃべり”で続けてこられたパン教室もそろそろ2年。一度も一人で焼いたことがなかったパンだけど、「ニーダーがあったらできるかも?ここらでちょいと実験してみようか」という意欲も出てきた・・・り、引っ込んだり。我が家のキッチンにも置ける小型のニーダーを探すこと数か月、クイジナートのパンコネ機能付きフードプロセッサーが気になっていた。

ある土曜日の昼下がり、アマゾンを見ながら買おうか買うまいかPCの前でジト~ッとしていたら、オットが「まだぶつぶつ言ってるの?早く買えば~」って。確かにお店で買う8掛けの価格で送料無料、円安だし買い時かとポチッ。さあ、来週末はいよいよパン作りだな~と思っていたら、なんと翌日の朝10時、宅急便さん現る。もう到着してしまった。びっくりしていたら、「アマゾンさん速いんですよ」と宅急便のお兄さん、あんまりさわやかにほかの会社をほめるから、「いえいえ、宅急便さんも速いからじゃないですか。」と言ったら、お兄さん、照れていた。

余熱で一次発酵中
さて、せっかく日曜日に届いたので、型やら器具が必要ないフォカッチャを作ることにした。しかし、パン教室のレシピとクイジナートのレシピを見比べると、こねる時間と水の量に大きな違い。パン教室は20分、クイジナートは1分30秒。ゼ~ンゼン違うではないか。そして粉の量は同じなのに、クイジナートのレシピの仕込み水は2割ほど少ない。まだ生地の様子を見ながら臨機応変にできるような技術はないし。困る。

しょうがないから適当にやってみることにした。まずたまげたのはモーターの威力で、スイッチを入れると、ガガガガ~と激しい音。水を入れるとまずまず音が大きくなり、機械そのものが振動でドドドと動くき出す。こ、コワイ。何か間違えたことしちゃったかしら?爆発か?感電覚悟で機械を抑えながら1分半回し続けると、スルスルスル~と生地が一つにまとまり、激しい振動も収まった。とりあえず少ないほうの水の量で試して、まだコナコナだったら水を足そうかと思ったけど、まとまったからもう水を足すのはやめた。あとから説明書を読んでみたら(先に読めって?)、コネ時間が少ないので水の蒸発が抑えられ、その結果仕込み水が少なくてすむらしい。

次の困ったは焼成。我が家のガスオーブンは完全にアナログなので、下火と天火の時間配分、火力、はたまたオーブンのどの段におけばいいかなどなどが全く分からない。これも適当に真ん中の段に置き、下火から始めて見た。何となく焼けたみたいなので、今度は天火に変えて焦がさないように上部を焼く。じっとオーブンにぴたりと張り付き中を観察。あ、暑い・・・。

そんなこんなで奇跡的に初めてのフォカッチャは成功して、男衆には大評判。ありがたくも週末になると「フォカッチャ食べたいなぁ」と催促され、ここ3週間焼いている。だんだんコツがつかめてきたから、お客さんにお出しできる日も近い。クイジナートのフードプロセッサーでパンコネ、とりあえず良い選択だったわ。


クイジナートフードプロセッサーで作るフォカッチャ

1.強力粉 300グラム、砂糖5グラム、塩5グラム を混ぜる
2.イースト6グラムを少量のぬるま湯で溶いておく
3.クイジナートのニーダーに粉とイースト、オリーブオイル大匙1を入れパルスを数回押す
4.スイッチをONにし、30秒くらいかけて水を170グラム入れる(様子を見ながら追加)
5.水を入れ2分半、生地が一つにまとまったらスイッチを切る
6.取り出して丸めなおしニーダーに戻し固く絞った濡れ布巾を載せて余熱で一次発酵30分
7.取り出して四角く伸ばして型に入れ、濡れ布巾を載せ二次発酵10分
8.指で表面に穴をあけ、オリーブオイルとガーリックパウダーとローズマリーを散らして発酵20分(様子を見つつ)
9.焼成は200度、下火10分、天火4分

2013年5月13日月曜日

お弁当

ワカの高校進学にお弁当作りがもれなくついてきた。
トイレにいけない、歩けない、ご飯が食べられない、お着替えできない、etc. etc….と一人では何もできない赤ちゃんのころからはじまった通勤&通園のあわただしい朝も、気が付けばしてやれることはお弁当作りだけになってしまった。

メカジキとがめ煮
今まで学校が長期休みの時は学童保育に持たせていたけれどそれも長くて夏休みの40日位、食べ盛り男子のお弁当を毎日となるとちょっと考えちゃう。保育園で知り合ったお母さんが本を出されたと人づてに聞いて、さっそく買ってみた。「朝作らないおべんとう」って、なんとタイムリーな。考えてみたら子どもが同い年だから、あちらもお弁当作りが始まったのね。

料理云々のまえに、準備の項を読んで、「ええっ?」だったのが、”食材が完全に冷めてからお弁当箱に詰める”。 そんなこと一度もやったことな~し。”日の丸弁当の梅干しはご飯を腐らせないため”、程度の知識はあるけれど、朝作ったものが昼までに腐るなんてこと、ちっとも考えず。わたしが高校生のころ、学校で保冷剤を付けたお弁当なぞ見たことがなかったし。念のため母に聞いたら「あら、そうなの。あんまり意識してなかったわ、大丈夫よ。」てな具合。親子してこれだから。そういえば会社でもみんなお弁当を冷蔵庫に入れているなぁ。じゃあ、明日から完全に冷ますかって?ん~、そんなに早起きできないし、ウヤムヤ~。

さて本題、「朝作らないおべんとう」には作り置きからお弁当を意識した晩御飯などヒントがいっぱい。しかし残念なことに我が家はオットが肉類と卵(ケーキは食べるのに)を食さないので、夕食はあまりあてにならず。 しょうがないから晩御飯の片づけが終わってから、冷凍保存用に肉料理を始める。もちろん食欲はないし、胸焼けしそうだし、気が重いな~とおもっていたら、なんとなんと、これが意外に楽しい。空きっ腹でとりかかるよりも、キモチにゆとりがあるので丁寧に料理ができる。料理も体力だ。

作り置きだけでは足りないとき、朝手軽に調理ができるように電子レンジで発熱する「焼けるんプレート」も買ってみた。おもに魚の加熱に使うのだけれど、これが予想以上の優れもの。まず匂いがほとんど出ないし、ついでに後片付けが簡単。ただし出来上がりは、”焼いた”というより”蒸した”といった感じ。

このひと月、気が付くとお弁当のメニューを考えている始末。新しい趣味にはまったというよりも、なんだか強迫観念に近いような。出来上がりの味見もしたいし一つも二つも一緒だから私もお弁当を会社に持参。早寝早起き&手創りのお昼、一番自分のためになっていたりして。

というわけで、お弁当のメニュー募集中!!

2013年4月24日水曜日

我が家の高校生 その1

高校生ともなると親からあれこれ聞かれて返事をするのはメンドクサイだろうと、あまり質問しないようにしている。とはいえ夕食時に黙ってもくもくと食べるのもかえってわざとらしいので、学校の感想を聞いてみた。

月曜日、
「初めての音楽の授業、どうだった?」
目を輝かせながら、「先生がキレイだった!」

火曜日、
「英語の授業、どうだった?」
満面の笑みを浮かべながら、「先生が美人だった!」

喜々として話してくれるのは嬉しいのだけれど、何となく私が期待している答えと方向が違う~。まずは、今日も明るい食卓。

2013年4月12日金曜日

東京の電車とバス

ワカの学校は最寄駅が複数あり、しかも、副都心線と東横線が相互乗り入れになったことで、通学経路の選択肢が増えてしまった。選択肢が多くて良いではないかと思うかもしれないが、言い換えれば1本で到達できない場所にあるということで、加えて、時間と運賃を比べると正比例どころかしっかりと反比例しているから悩ましい。
最短ルートは相互乗り入れのため乗り換えはたった一回なのに、4社の路線にまたがるので初乗り運賃払いまくり~。最もお安いルートはちょっと遠回りの2回乗り換え、最短ルートより20分程余計に時間がかかる。全ての経路の中で乗り換えも乗車中も楽ちんそうなのが、電車&バス。

登校時は始発停留所から乗車するので時間も読めるし、なにより座って行ける。バス停を降りると学校まで1分、何度か乗ってみたけれど快適、快適。そこでこのルートを第一候補にした。しかし、バスの通学定期が結構なお値段てことが判明。電車だと1ヶ月約2100円のところがなんと7200円、およそ3倍!それを聞いたワカ、「時間かかっても構わないから、一番安いルートで行くよ」。毎日の通勤でげっそりしている私は快適ならしょうがないかと思っていたが、成長したワカの言葉に感心、さすが私の子だ(ええっ??)、よしっ、若者よ早起きして頑張れ。

例えばドイツの都市はゾーンが決まっていて、定期券を購入するとそのゾーン内はバスも地下鉄も路面電車も乗れる。東京の公共交通は便利、安全、清潔、だけど、会社が沢山ありすぎて料金体系が面倒だ。せっかく相互乗り入れで乗車や乗り換え時間が節約できても、運賃が高くなってしまったら通学定期だけでなく、通勤費を支払っている企業にとってもいいことは無い。せめても都営とメトロの運賃一元化を図り、初乗り運賃の負担をなくすべき。九段下の「バカの壁」が撤去されたように、ここは一つ是非、猪瀬さんに公約を実現して欲しいと思っている。

2013年4月10日水曜日

映画ひとこと 3月

2月頭から続いていた咳が治まり始めた3月、桜の便りとともに鼻水とくしゃみに襲われる。せっかく治った咳がまたぶり返してしまった(;_;)。この時期は大晦日@アメ横のような賑わいの耳鼻咽喉科に駆け込む。

お医者さん曰く、鼻カメラでモニターに映った映像を見ながら「典型的なアレルギー症状です。」 とっても忙しいお医者さんは「なんの薬がいいですか?」と患者に聞いてくる。お医者さんと問答する暇もなく、これまた忙しそうな看護婦さんに吸入器の前にとっとと追っ払われてしまった。
お薬は”アレグラ”、眠たくならず、喉も乾かず、ゆっくりと効き目が現れ、鼻水も咳も緩やかに治まる。
3月もあまり体調が優れず血が飛び散るような映画を見る気がしない。というわけで、残念ながら「ジャンゴ」はパスしてしまった。

SAVAGES

オリバーストーン監督。残酷そうなのでオットが予約を入れたとき、上記の理由で気乗りがしなかった。はたして、血も飛び散るし痛そうなシーンが満載だけど、見てよかったのだ、これが! まず、映像がとても美しい。ストーリーがうまく組み立てられていて、過激なシーンもそれほど気にならない。3人の若者は綺麗だし演技も上手だが、なんといってもベニチオ・デル・トロ、サルマ・ハエック、ジョン・トラボルタが強烈すぎて、主役であるはずの若者たちが霞んでしまう。ベテラン3人は完全に役を楽しんでいるようだ。こういうエンディング、トワイライトの最終章でもそうだったけど、流行りなのかな?

クラウド・アトラス

19世紀から文明が崩壊してしまった未来社会までの6つの時代のストーリーが並行して進んでいく。13人の役者が時には特殊メイクを施して、多い人でひとり6役程をこなす。バラバラに進んで行くストーリーがとてもうまくモザイクのように組み合わさり、時代を超えたモラル、というより大きな宗教的な思考に辿りつく。「袖触合うも他生の縁」という考え方が西洋にもあるのか、と思っていたら原作者のディヴィット・ミッチェルは少なからず日本と縁がある。172分、長く感じない。

マスター

ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、は本当にコイ、しかし本当に凄い役者だ。顔だけでなく頭の先からつま先まで全てを自由自在に使って演じている。「生きる」とか「信じる」とかが「何である」というよりも「簡単には説明できない」、ということが淡々と描かれている。人間の根底でのつながりは理屈がつけられない、そんな人間関係に嫉妬する妻を演じたエイミー・アダムスもとてもよかった。音楽、映像ともに、何か普遍的なものを感じさせる素晴らしい一篇。

キング・オブ・マンハッタン

原題は「Arbitrage」、邦題は苦肉の策なのだろう。上流階級の人間がスラム街に住む若者に運命を託さざるを得ない、という展開が皮肉。妻は夫の稼ぎをせっせとチャリティーにつぎ込む、金持ちが嫌いな刑事はスラム街の若者を悪気も無く利用する。主人公のような人間ははっきり言って嫌いなタイプだけれど、刑事も意地悪だし、役者対決でティム・ロス(刑事)vsリチャード・ギア(金持ち主人公)だとだんだん主人公に肩入れしたくなってくる。

アンナ・カレーニナ

貴族の虚栄社会を舞台に見立てた素晴らしい演出。アンナは舞台を離れ野外にも出る。なすすべもなく朽ち果てていくだけではないところが今までの解釈と少々違う。しかし、心は自由になったのに、最後まで舞台から降りることができなかったアンナ、一方舞台から降りて夫に付いていくキティ。この対照的な姿は、トルストイの思想を大変わかりやすく映し出し、大変賢い演出だ。
また映画ならではの繊細な表情、手の動きまでを捉えたカメラワークで役者の個性が際立つ。キーラ・ナイトレイが輝くような美しさ。我が家の男衆絶賛。ジュード・ロウは完全に年配の役、自分の持つ色気を抑えるのも役者の仕事、最後の草原に身を置く姿が美しく、普通抱くアンナの夫のイメージと少々違う。あらすじがわかっているだけに、そのあわれな「アンナ・カレーニナ」を見るのは気が進まなかったが、こんな素晴らしい「戯曲」が見られるとは思っても見なかった。もう一度見たい。

2013年4月5日金曜日

東横線渋谷駅 その後

東横線が副都心線に乗り入れて初めての月曜日、さぞかし渋谷駅はコンランしているのではないかと、少々早めに家を出た。適当な車両に乗り、渋谷駅で降りる。人の波がぎこちない、というかとまどう羊の群れのようだ。一番近くの階段であれよあれよと言う間に駅員さんに誘導され、エスカレーターに乗らされる。エスカレーターを上がると、おそらくメトロの駅員さんだと思うが、人間の鎖を作って立っている。駅員さんいつにもましてテンション高い。何かが乗り移ったようで、ちょっとコワかった。一斉に張り合うように声を上げて叫ぶので、何を言っているのかわからないし、そこに放送の声もかぶさり、さながら青物市場(行ったことないけど)のようだ。羊さんたちは追い立てられるように階段をのぼらされ半蔵門のホームに。あさっての方向に行ってしまうこともなかったけれど、大回りさせられたような気分。しかし、おやおや?降車駅にはいつもより早く到着している。思いっきり文句を言うつもりだったのに拍子抜け。

さて、帰宅。渋谷駅東横線ホームは4車線から2車線になり、今度こそはさぞや混雑しているだろうと思いきや、それほどでもない。始発駅ではなくなったので座って帰ることもできなくなるな、と思ったらなんと各駅電車はガラガラで到着、みんなどこに行っちゃったのだろう。電車の運行そのものには関係ないが、帰宅しても何となくしっくりこない日がしばらく続いた。「一体どこから電車に乗ってきたんだっけ?」というモヤモヤした感覚だ。地上の渋谷駅でのいつもの乗り換えではないので、何か空間がずれたような・・・。たいした出来事ではないのに、習慣化された行動が意識に与える影響っておもしろい。

そして約半月が経ち相互乗り入れは、プラマイゼロといったところか。まずプラス、乗り換え時間が短縮されたこと。それから、渋谷駅で出口が増え、通勤客が各車両に分散、かつ、特急が10両編成になり輸送量が増え、混雑がすこ~し(ホンのすこしよ!)緩和されたこと。ただしこれは東横線から半蔵門線に乗り換えの場合のみ、JR、銀座線、井の頭線、バスに乗り換えの方たちは絶対違うと思う。
マイナスは駅の狭さ。せっかく深~く掘ったのに、どうしてもう少し広くしなかったのか。ホームも狭いし乗り換えの階段も狭い。地震や火事が起きたら、なんて、想像するのもコワイくらいだ。まあ、銀座線の渋谷駅も狭いことは狭いけれどね。

帰宅途中に「渋谷で買い物」って気分は皆無。お財布にはプラスだけど、いざと言う時にとても便利だった「東横のれん街」はもう便利ではなくなっちゃった。しかもマークシティへ引っ越してますます遠のいてしまった。地下5階は思いのほか地上から遠い。

2013年4月1日月曜日

映画ひとこと 2月

1月の終わり、発熱、関節の痛み、食欲不振で沈没。やっと起き上がれるようになってからクリニックに行くと、「インフルエンザかも」と言われる。発熱後48時間とっくに過ぎているので、検査せず咳止めの薬だけ処方してもらう。新型の時と同じでそれからが大変、咳が全然止まらない。涙目になりながらクリニックに行くと「喘息になったことありますか?」。「小児喘息はありますけれど、そんなの関係ないですよね。」「いや、あるんですよ。咳が止まりにくい」。ということで、2月前半は咳に悩まされクラ~イ冬を送ってしまう。
そんなこんなで、2月後半追い込みでガガガっと観た映画。

アルバート氏の人生

アルバート氏の人生

階層社会の中で弱い立場の人々、その中でもっと弱い立場が女性。女優としてアルバートを演じることは役者冥利につきるであろう。グレン・クローズの技量に目が行ってしまい、物語に普遍性を感じることができなかったのは、私の想像力が欠けていたからか・・・?

テッド

珍しくTVCMまで流し、かなり前から宣伝していた。日本サイドの配給会社は試写をせずに、”しゃべる熊さん”はかわいいもの好きの日本人にウケると思っていたのじゃないだろうか。日本語に訳せないスラングの連発はまだしも、ドラッグになるとちょっと~!いくつかは笑えたけれど、日本人には厳しいネタ、ジョークのオンパレード。

マリーゴールドホテル出会いましょう

マリーゴールドホテル出会いましょう
期待していなかったのに、とっても面白くてかなり得した気分。イギリス人俳優は本当に素晴らしい。年配といいますか貫禄があるといいますか、あのジュディ・ディンチが見せる繊細な美しい表情、女の私でも彼女に恋する男性の気持ちがわかるくらい。近い将来、日本のリタイア組も母国を離れ、このようになるのだろう、いや、もうなっているのかな。異文化間というより世代間の違いを見つめ直さないといけないと思った次第。



ムーライズ・キングダム

ムーンライズキングダム
動く絵画のような大変美しい映画。デッドアングルがひとつも無く、どのコマをとっても絵になる。全てが計算され尽くしていて、それでいて重たくない。パーセルの曲をモチーフにした「青少年のための管弦楽入門」、まさにこの曲のように人間関係がかぶさっていく。最後にはオリジナルの曲、これもとてもいい。アクションスターのイメージが強いけれど、ぼやっとした人物をさせると右に出る人はいないブルース・ウィルス。エドワードノートンは地でいっているのか?
もう一回観たい。

ライフオブパイ


トラと漂流というとどんな話になるのだろうとおもっていたら、なんとすばらしい・・・。アン・リー監督は私のもっとも好きな監督の一人だ。映像がこの上なく美しいのはもちろんのこと、ここまで映し出すことができる監督のイマジネーション、洞察力、思慮深さ、謙虚さに脱帽だ。自然と生命が織り成す雄大な歴史を感じる。イソップ物語であったり、民話であったり、さまざまなメタファーをもって人間は哲学を語ってきた。現実を見据え、俯瞰的な視点をもつことのすばらしさ。

ゼロ・ダーク・サーティ

ゼロ・ダーク・サーティ
こういうのを骨太というのだろう。キャスリン・ビグロー監督の境界線を心得た映像は、くどすぎず説得感がある。拷問や自爆テロより恐ろしいのは、クライマックスでのビン・ラーディンの捜索シーン。暗い室内を特殊部隊の隊員の目で動き回るカメラ、まるでゲームの世界だ。最後に主人公が流した涙の意味、これをいかに観客が読み取るか。なんのために多くの人たちの血が流れるのか、虚しいばかりである。かなりオススメの一作。

世界に一つのプレイブック

世界に一つのプレイブック

一つずつずれたボタンをかけ直すのは、難しくないけれど少々面倒。心や人間関係を立て直す日常生活、最初は全てがチグハグなのに、パタパタと丸く収まっていく様子は見ていて楽しい。アカデミー賞作品賞にノミネートされるほどかな?とは思いつつも、ほろ苦いユーモアに苦笑い。選曲がいい。「ハンガーゲーム」の彼女はまだ若いのに堂々としたもの。




バチェロレッテ

バチェロレッテ

ドタバタ・・・

2013年3月22日金曜日

渋谷駅狂騒曲

銀座線の階段付近から振り返る
3月16日、東横線渋谷駅が地下に潜り副都心線とつながった。
地上の渋谷駅が最後となる15日は、それはもう激しい人、人、人。私も通勤通学でン十年お世話になっただけに、当たり前の風景がなくなってしまうことの寂しさは否めない。鉄道ファンだけでなく、渋谷駅を最後に一目みようという人たちが立ち寄っていたのだろう。

東横線はほとんど高架を走っているのだけれど、私の住んでいる辺りにはいくつか踏切がある。電車を近くで撮影できる格好のスポットらしく、15日が近づくと近所の踏切には、脚立と立派な望遠レンズのついたカメラを持つファンの人垣。安全確認のためか、15日はその全部の踏切に東急の人たちが立っていた。

プラットホームはカーブしていたので、
こーんな広い隙間があった
たまに人が落ちたらしい
渋谷代官山間が地下化されることにより、車窓からの景色が見られなくのが残念だ。代官山を過ぎた辺りからの風景を、たとえば「混んだ電車から降りられる」という安心、「乗り換えの階段が結構長い」という憂鬱さ、そんな気持ちでながめていた。学生時代、読んでいた文庫本やら試験勉強のプリントをカバンにしまい外を見ると、銀扇閣という2階建て簡易宿(?)が見えて犬が2匹遊んでいた。社会人になりたての頃、ウォークマンを聞きながら車窓を眺めると、ビリージョエルの歌と渋谷の町が意外や意外、マッチしていてちょっと嬉しかった。ひっそりとした同潤会アパートが消え代官山アドレスがニョッキリ、でも本多記念教会はそこにあるし、大きな都営アパートやJRをまたぐ陸橋も昔から変わらない。JR山手線の上を走る辺りでガガガガ~とカーブを切り、ゆっくりした速度で並木橋を超えると「さあ、渋谷ダワ!」と感じた。

晴れの日も、雨の日も、風の日も、毎日毎日何も考えずにぼーっと眺めた車窓からの風景は、意外と脳裏に残っているものだ。 はっきり言ってお世辞にも綺麗な景色とは言い難かったけれど、紛れもなく私の一日の始まりと終わりをを縁どっていた風景だった。

15日は名残を惜しむ人たちでなかなか駅を閉めることができなかったらしいが、駅長が登場して敬礼をすると収まったらしい。駅長さんはエライ。そして代官山の線路接続工事がなんと4時間で完璧に終了し、翌日からは当たり前のように東横線はトンネルの中に飲み込まれていった。

一区切りは着いたものの、新しい駅の乗り換えになれるにはちょっと時間がかかりそうだ。銀座線渋谷駅の移動、埼京線ホームの移動、東横のれん街の引越し、高層ビルの建設、まだまだ渋谷狂騒曲は続いていく。

2013年3月13日水曜日

旅立ちの春

ワカの高校受験が終わり、なんと3月も既に半ば。進学先も決まりほっと一息、来週は義務教育最後の卒業式。思い起こせば産婦人科の先生と助産婦さん、保育園の保育士さん、小学校と学童保育の先生、ピアノの先生、中学校の先生、塾の先生と、なんと多くの人たちに見守られながら大きくなってきたことか。地域の皆さんに育てられて、無事に義務教育を終えることができた。感謝、感謝である。

そして、そんな春の一日、ワカの小さな友達との別れがあった。ワカが私のお腹にいた春の日、近所で野良猫が赤ちゃんを産んだ。ある日母猫はいなくなり、一匹だけ子猫がおいてけぼりされていた。子猫の頭の上の電線にはカラスが「カ~!」。見るに見かねて母が拾ってきたのがミミちゃん。ワカと同い年15歳のミミちゃんは、名前と同じ3月3日の夜、静かに眠りについた。

一週間ほど前から食べ物を受付なくなり、それでもよしよしするとゴロゴロと喉を鳴らし、決して辛い顔を見せない。何度も猫ちゃんを看取ってきたけれど、その度に動物の安らかで静寂な最後には尊敬の念さえ覚える。まるで木の葉が落ちるように自然の一部となり、人間もこのように落ち着いて、美しく最後を迎えられるのだろうかと。

「何も心配いらないよ」と言うように、仲良しで大好きなワカの新たな旅立ちを見届け、静かに行ってしまった。たくさんの思い出を本当にありがとう。ミミちゃんは古い毛皮を脱ぎ捨てて、今頃、新しい毛皮を探していることだろう。また生まれてきたらうちにおいでよね。それまでちょっとの間だけさようなら。


2013年2月2日土曜日

映画ひとこと 1月

週末が立て込んでいてなかなか映画が見られなかった1月。どうにか3本。


ルビー・スパークス/Ruby Sparks

若くしてデビュー作が好評を博し、その後ずーっとスランプに陥っている主人公カルビン。セラピストに誰か好きな人の物語を書くように勧められ、ルビー・スパークスという女の子の物語を書き始める。ある朝目覚めるとなんとルビーが家にいるではないか。驚きながらもルビーと楽しい毎日を送り始めるカルビン。しかもルビーは彼がタイプライターで打つそのものの理想の女性になる。が、カルビンのエゴと束縛は自分の書いた小説にもかかわらず、うまくいかなくなってくる。

脚本はルビー役のゾーイ・カザン、「エデンの東」のエリア・カザンの孫娘。コメディという光が当たる所の裏には影がある。影に追いつめられた時はちょっとコワイけど、最後は何となく予感できそうなロマンチックなエンディング。


ロンドンゾンビ紀行/Cockneys vs Zombies

祖父の老人ホームが再開発のために立ち退きを迫られていると知ったボンクラ兄弟は、銀行強盗で資金を調達しようと企む。その頃再開発地の古代遺跡の扉を開けてしまった作業員はゾンビに噛み付かれ、ロンドン中の人々が次々とゾンビに変身、街中ゾンビだらけになってしまう。老人ホームの老人は武器を持って立ち上がり、若者と一緒にあの2階建てバスでロンドン中を逃げ回る。

不況で困るのはいつの時代も高齢者と若者。自らの力でたくましく立ち上がって、見ていてスカッとする。数あるゾンビ映画の中でも高位置、かな。




ルーパー/Looper

タイムマシンで送られてくる人間を抹殺する「ルーパー」(ウーパーは付かない)ジョー(ジョセフ・ゴードン・レベット)の目の前に、未来の自分(ブルース・ウィルス)が表れる。未来の自分を消せば、後20年自分の人生が待っている。しかし未来の自分は別の未来を思い描いている。

白人にしては平ペったい顔のジョセフ・ゴードン・レベット、有名になって整形したのかと思いきや、ブルース・ウイルスになるためつけ鼻をしていたのだ。お話の内容は既視感があるけれど、勧善懲悪で終わらないところが気に入った。

2013年1月31日木曜日

もう12分の一が・・・

1月に入ってからはワカの受験で殺伐としてくるのではないかと思っていたけれど、志望校が決まってしまえばこれといって話すこともなくいつもの我が家。ワカは親よりずっと腹が座っていると見える。最後の模試も最終コーナーで志望校合格ラインに乗り、後はゴールまで一直線か?いやそんなに世の中甘くない、と、何も出来ることがないだけに、なんだか落ち着かない母。

願書に貼る写真くらいは奮発しちゃおうかなと、街の老舗の写真館を訪れた。受験には何の関係もないが、セレブ御用達の写真館だ。カメラマンから「サイズは?」と聞かれ、ワカと私は2人で顔を見合わせる。当然、2人ともチェックしてない。とりあえず写真だけとって、後でサイズと枚数を電話すれば良かったのに、「大1枚と小3枚!」と適当に注文。もちろん何の根拠もな〜い。思考停止。お代は4枚で5900円也。遅まきながら家で調べてみたら、私立と公立はサイズが違うし、しかも願書に貼る枚数もまちまち。慌てて写真館に電話すると、そんなことだろうと思っていたようで枚数の変更に快く応じてくれた。庶民にも親切な写真館だ。

さて、願書はワカが学校でしっかり記入してきた。ものすごい筆圧だ。気合が入っているのか。後は親の署名と捺印そして、セレブ御用達の証明写真。ところが、その証明写真がどこにも見当たらない。唖然!!忘れないようにここにおいておこう、と考えた一瞬の光景まで頭にうかぶのに。半日探し、あきらめて、写真館に電話して4枚追加。焼増し料金4500円也。美味しいものたべられたなぁ~。きっと全てが終わったあとに、ポロリと見つかるのだろう。

さて、受験料の振込。とある学校はATMから振り込む。学校の口座と同じ銀行から振込もうと思ったけれど、休眠口座で残高がほとんど無いからまず預け入れをしなくてはいけない。お札をATMに入れたところで、確認を押しても画面がちっとも動かなくなった。人差し指、中指、親指と指を変えて試してもダメ。当たり前か。店頭に立っている案内係のおじさんに「画面がフリーズしてます!」と言うと、おじさんも「おやおや、こんなことがあるんですね」と困り顔。とりあえず手続きを取り消して、隣のATMでやり直すことに。・・・そこで気がついた。どうやら入金の際に「一部入金」を押してしまったらしい。もちろんその場合は入金したい金額を入力しなければ「確認」が押せない。暗証番号もいらない一番簡単な預け入れ操作でつまずく私・・・。

本番は2月10日から。志望校に合格できたらいいね。見えないところで慌てながら応援しているよ。


2013年1月17日木曜日

ポアント

ポアントを最後に履いたのは17年前。金輪際履くことはないと思っていたけれど、また履いてみたいと思うようになり、2012年の密かな目標にしていたが、そうこうしているうちに12月、残すところあと2週間となってしまった。やっぱり目標は達成しなくては!そのためにはポアントを買ってしまうことだ、と渋谷のチャコットに行った。

はじめは右左の区別は無く
自分の足で形をつけていく
私がポアントを履き始めた1960年代は、数社の国産メーカー以外は簡単に手に入らなかった。初めてのポアントは「スワン」製、この「スワン」は後の「チャコット」だ。今や国内外のメーカーがずらり、足の形や使い勝手に合わせてヨリドリミドリだ。インターネットでも安く手に入る。浦島太郎子には数が多すぎてどれがいいのかさっぱりわからない。

チャコットのフィッターさんは私の足の形を見るなり、サササッと2、3足のポアントを持ってきてくれた。仕事早い。まずトウパット(指を保護するためにポアントの先に入れるパット)の存在が嬉しい。昔は硬いマメができるまでひたすら我慢。流血は当たり前。どうしようもないときはストッキングで保護して頑張った。本当に痛かった~~。今考えると、ポアントの選択肢が少なく、足に合うものを見つけるのが難しかったということもある。

さて、5、6足試してソールの柔らかさなどを確認、オーストラリアの「BLOCH」というメーカーに決定。その場でリボンを縫い付けてくれて、ソールには名前を刻印、その上、右左を間違えないように片方のシューズにバンビちゃんまで型押ししてくれた。サービスも進化だなぁ。

いよいよ練習、ゆっくり、ゆっくり(おそる、おそる)、もちろんバーから離れることはない。床が木に比べて弾力性のあるリノニウムでトウパットもつけているから、足の指はゼンゼン痛くない。リノリウムの床には滑り止めの”松ヤニ”がいらないので、これも昔とは違う。木の床で聞いたポアントの足音とは違うわ。

思っていたより昔の感覚が残っていた。バレエシューズでのルルベは、正確にはドゥミ・ポアントといって、指を折りボール(指の付け根)で立つ。ポアントの場合はトウの先で立つので足の指は伸びた状態。ポアントの先端は平たくなっていて、その平面が床にピッタリと均等につくのが理想。そのためには甲をしっかり伸ばさねばならず、甲の硬い私は普段よりかなり足底筋(土踏まずの筋肉)を使った。そして、ポアントで立つには足の力だけではなく、上へ上へと上体を引き上げる力が大切だ。

ということで、その日のうちから全身筋肉痛、土踏まずが熱持ってるみたい。でも、とっても楽しくて、懐かしい時間だった。

2013年1月15日火曜日

トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2 Breaking Dawn Part 2

トワイライト・サーガ全5作品、ツッコミを入れながらも(「夫婦50割」で行く映画か?とこちらがツッコまれそうではあるけれど)、遂に最終章を鑑賞。シリーズのはじめは大きなスクリーンで上映していたのに回を追うごとに小さくなっちゃって、今回はヒューマントラストシネマ渋谷。さて、既に観た方(まだの方は鑑賞後)一緒にツッコミをいれましょ。では!

なんでもアリのブレーキング・ドーンパート1、なぜヴァンパイアに子どもが出来るのか、最大の疑問を棚に上げ「不滅の子」レネズミが誕生。「フライ2」のように胎児の頃から成長が早い。出産で死にそうになり、エドワードにがぶがぶ噛まれて助けられたベラ。正確には、ヴァンパイアに噛まれて人間としては死んだのだけど。ま、なんでもいいけど、遂に念願叶って、強く、化粧も濃くなって、転生を果たす。

ベラに恋焦がれていたジェイコブ、赤ちゃんのレネズミを見るなり「刻印」の相手だと悟り、あっという間にレネズミに鞍替えする。転生してからはジェイコブのにおいが気になるベラ、まだ幼児のレネズミを刻印の相手にしたことに激怒し、ジェイコブをコテンパンにする。それを面白そうに見物するエドワード。結局、仲直り、雨降って地固まる。

「不滅の子」とはヴァンパイアを滅ぼす凶暴なヴァンパイアで、ヴォルトーリ族は見つけたら片っ端から退治してきた。「不滅の子」の定義はヴァンパイア同士の間にできた子どものこと。カレンファミリーはレネズミは正確にはベラが人間の時にできた子どもだから「不滅の子に」当てはまらないと説得するため、それを証言してくれるヴァンパイア仲間を集める。

ベラには自分の考えを読み取られない&相手の攻撃を寄せ付けない、という能力が人間の頃からあった。転生後は自分だけでなく味方にバリアを張って、防御する能力があることが判明。まだヴァンパイアになったばかりでうまくできないので、いざという時のために修行をはじめる。あくまでも平和裏に問題を解決したいカレンファミリーではあるが、ヴォルトーリのリーダーであるアロは大げさな大軍を引き連れて現れる。アロん千年の人生の中でも前例のない、人間とヴァンパイアの間にできた子ども。最初は「この子面白そうだし退治するのはどうしようかな~」てな立場だったけれど、結局あれよあれよという間に戦いの火蓋が切って落とされる。

実に激しい戦いの中、カレンファミリーの中心人物の首がコロコロと落とされ、いくら完結編だとはいえここまでするか!と驚く。しか~し、遂にアロの首を獲ったと思ったその瞬間、オヨヨ…。劇場内から聞こえる安堵のため息、正しくは、失笑とともに、この戦いは幕をとじる。

何のかんのいいながらも、やっぱり面白かった。本のシリーズはこれでおしまいだけど、映画はスピンオフが計画されているらしい。17歳のエドワードを演じるには年をとりすぎたと、ロバート・パティンソンが自ら発言しているが、そんなこと言わずに是非もう一作(「エドワード・バトン」?)!

2013年1月10日木曜日

レ・ミゼラブル  Les Misérables

年末年始映画 その3は大評判のレ・ミゼラブル。

お話の内容が悲惨すぎる、ミュージカル舞台の映画化で過去にがっかりしたことがある、という理由で実はあんまり見に行きたくなかったけれど、もし見ていなかったら大きな作品を逃したことになっていただろう。

監督トム・フーパーは役者の歌う歌をレコーディングして後付するのではなく、セリフのようにそのまま収録している。一度きりの歌声ということでは舞台と一緒だ。舞台ではホールの最上階まで響く歌声が要求されるが、映画ではスクリーンでの細かい演技が要求される。舞台の良さを残し見事に「映画」に脚色され、見ていて違和感を感じない。俳優陣の高い歌唱力には舌を巻く。歌手としてではなく、俳優として実績を残している面々だ。歌も歌えなければ、一流の役者として生き残っていけないのかも、と思わせるほどだ。

数年前、何かの暗示だったのだろうか、ヒュー・ジャックマンが司会をしたアカデミー賞授賞式でアン・ハサウェイが歌を披露、その歌声と可憐さにシャーリー・マックレーンが「歌い続けなさい」と賛辞を送ったことは記憶に新しい。今回、彼女は映画史に残るであろう素晴らしい演技を残した。あんなにコテコテに歌っても胸焼けさせない、それどころか心揺さぶり、この曲に全く新しいイメージ&解釈を植え付けた。アカデミー賞、取るかも。

もちろん、歌って踊れるトニー賞俳優&アクションヒーローのヒュー・ジャックマンは期待通り。大作を一手に背負い、映画を一ランク上に引き上げたことは間違いない。アカデミー賞、もしかしたら(ダニエル・デイ・ルイスがまたまたスゴイらしいから)。

「レ・ミゼラブルロンドン公演25周年記念」でも同じ役を演じたサマンサ・バークス、アン・ハサウェイに負けず劣らずの熱唱、泣ける。舞台で磨いた文句ない歌唱力が彼女の底力であろう。男子も負けていない。エディ・レットメインは歌も上手いのだった。高く澄んだ美しい声だ。彼は「イエローハンカチーフ」ではウィリアム・ハートを相手に、これは!と思わせた。舞台「Red」でも活躍し、ローレンスオリビエ賞、トニー賞を受賞。ぜんぜん関係ないけど、かのウィリアム王子と同級生だったという。

で、イマイチだったのがラッセル・クロウ。彼なりに頑張ってはいたのだろうけれど、あれだけ他の役者が全員盛り上がっているのに、彼が歌い始めるとシュルルル~っと盛り下がる。ラッセル、苦労。いい役者さんなのに、ちょっと解釈を間違えちゃったか。

忘れていけないのは子役2人。特に男の子。ロンドンで「オリバー」を見たとことがあるのだけれど、この子は出演していたらしい。小さい頃から一流の舞台で研鑽を積んでいるのだ。透き通るようなボーイソプラノを堂々と披露し、死んでいる演技もスゴすぎる。

是非、映画館で。舞台とは違った感動が待っている。

2013年1月8日火曜日

007スカイフォール(Skyfall) / 恋のロンドン狂騒曲 (You Will Meet a Tall Dark Stranger)

年末年始に観た映画は5本、今回は2作品纏めて感想文。今年も映画館通い楽しみたいワ~!

スカイフォール
007 スカイフォール

ダニエル・グレイグの人間追跡ミサイルは、今回も超ダンディー。傷つき、ガス欠になってもステキ。007の50周年記念ということで、007の愛車や武器も登場し、アナログでノスタルジー漂うクライマックスがファンには嬉しい。アデルのテーマソングもオープニングに大輪の花を添える。

とはいえ、諸手を上げて面白かった~!とは言えない。ワルモノの心理をあまりにも個人的な恨みつらみで深々と掘り下げすぎ、007映画の軽快な(時に軽薄な?)広がりに欠ける。ハビエル・バルデムはその暑苦しさから役柄にぴったし、が、サム・メンデス監督にミスリードされてしまった感あり。悪者のシーンはまるで「バットマン」を見ているのかと思ってしまう。

収穫もあるわよ。出番は少ないものの、ここぞというところで強さを発揮してキラリと光ったラルフ・ファインズ。次回からの登場に期待が高まる。
恋のロンドン協奏曲


恋のロンドン協奏曲

まるで”エッセイ”のような小品に、アンソニー・ホプキンズ、アントニオ・バンデラス、ジョシュ・ブローリン、ナオミ・ワッツとそうそうたる顔ぶれ。これだけ揃えれば、演技の問題は皆無。そんなベテランを難なく手のひらで転がすウディ・アレン。脚本がいいのかキャスティングがいいのか、演技が達者であればあるほど、キャラクターの情けなさイタさ全開。

現役っていつまでなのか。けっこう年取ったつもりでもまだまだ新しい人生が待っている。あれこれ考えて、勇気を持って飛び出しても、ほとんどのところ失敗に終わり、恥をかきまくる、が、たまに夢で描いたようにことが運んでしまうこともある。嬉しいかというと、それはそれで厄介・・・。幸・不幸は表裏一体、すべて自分の考え方次第ね。

自分より若い年代を主人公にした映画が多くなってしまった今日この頃、まだ自分の知らない年上の人たちが、悟りも開かず、懲りもせず、大騒ぎしているのを見られるのは、ちょっとウレシイ。

2013年1月6日日曜日

明けましておめでとうございます

年末に訪れた浅草で
東京の1月1日は、穏やかな一日だった。

大晦日は友人とジルベスターコンサート(エルガーの「威風堂々」いいなぁ〜!)を見ながら年明けのクラッカーを鳴らし、シャンペンを開けながら2時ごろまで語り合い、10時頃にのそのそ寝床から這い上がり、年賀状をポストに取りにいき、お茶を飲みながら昨晩の片付けをし、12時になったら実家に行き、家族でおせちとお餅を食べ、お腹いっぱいになったら近所を散歩、初詣で混んでる神社を諦めて隣の駅のお寺に足を伸ばし、スタバで一服、そのまま実家に戻って更に食べ始め、ニューイヤーズコンサートを見る。

こんな毎年の判で押したような大晦日からお正月、コロロから平和と幸せを感じる。

皆様にとって健康で穏やかな一年でありますように。