リンパ線を知り尽くして上海エステ業界で体を張って商売している紅子さん、京君と別れて家に帰ってからお風呂に入いり、昔の思い出やら商売に思いをはせている。(水戸黄門の由美かおる・・・)。紅子さんの長湯に付き合ってたら土曜日から水曜日までかかった。昨日やっとバスローブをはおったところで携帯電話が鳴る。
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(前略)
「もう眠っちゃいましたか?」 京だった。頭の中のいくつもの数字が消えた。「・・・いまバスタブから出たところ」「じゃあ、裸なんだ」「はい、そうですよ」これは嘘。(何を期待してるのだ!)でも裸に近い。「これから、紅子さんのところへ押しかけて行こうかと思って・・・」
電話の声の背景に、軽い音楽とざわめきが漂っている。若くて甘やかな匂いまでも。(これはいい表現だなぁ。こういうことある、ある。ワカが公園から電話してくると、若くて砂場の匂いがしてくることがある)「わたし、お風呂から出たばかりなのよ」「いいじゃないですか」「よくないよ。毎日の手順通りに洗顔だってすませちゃったし」
押しかけてくる、どういう意味だろう。(変な期待してないわよね、紅子さん)けれど京ならやりかねない。来られたら困るのか、というと、それもよいような気がしてきたが…(ほらやっぱり期待してる~)いややはり困る。(そうなのよ、一度鎧を脱ぐとまたつけるのが大変なのよ、ここはちゃんと断りなさい、上に立つのよ!)
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「実はいま、彼女と一緒なの、豚の店で」(ほら、だから言ったこっちゃない、先にびしっといっておかないから~。)あっけらかんとした京の声に途方に暮れたが、すぐ気持ちを取り直した。今日は相手の気持ちを斟酌しない、というより平気で引っ掻く。それも無邪気な笑顔でだ。
(紅子、読者に豚の店の説明を始める 中略)
「彼女と一緒って?」 「ほら、前に言ったでしょ、周敏、アナベル・リーの」(あれぇ?前っていうか、今日だったんじゃなかったっけ?それともほんとに5日間くらいお風呂に入ってたのか、私、どこか読み飛ばしちゃったかしら)
(中略)
「デートなんでしょ?どうして電話なんかしてくるのよ」(中略)「押しかけて来て欲しくなかったら、こっちに出てきませんか?お化粧なんかしなくても、紅子さんは奇麗です」(いや・・、それは・・・ちょっと・・)酔っているのかもしれないが、傍らの周敏の反応が見えない。(携帯、テレビ電話に変えたら?あ、そしたらこっちも見えちゃうか・・・)「京さん、私本気で怒ったら怖いよ。(コワそう)わたしのことタカをくくると、どうなってもしらないわよ」ここは一番、怒っておいたほうがいいだろう。(今頃・・・、遅い、遅すぎる。)
でも、行っちゃうんだろうな、紅子さん・・・。
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