2008年9月7日日曜日

INTO the WILD

「イントゥ・ザ・ワイルド」は、ジョン・クラカワーのノンフィクション「荒野へ」をショーン・ペンが映画化した。主人公の青年クリスが求めたものや捨てきれなかった感情、そしてそれを取り巻くアメリカの大自然を丁寧に、しかも若者からの等身大の視線をもって描かれている。役者としての彼は映画によって好き嫌いがあるんだけど、監督としての才能にうならされてしまった。

大自然とクリスの回想、彼の妹のナレーションがうまく織り交ぜられていて、2時間半、一瞬たりともつまらないシーンがない。そして俳優陣の素晴らしさに脱帽する。クリスを演じたエミール・ハーシュ、いいです。しかし、あんなに減量して大丈夫だったのか・・。そしてロンを演じたハル・ホルブルック、彼を見ているだけで涙が出てきそう。その他出てくる全員、誰もがいい、キャスティング大成功。グランドキャニオンでキャンプしていたデンマーク人も”らしく”って笑えた。

見終わった後はしばらく主人公クリスの”思想や心理葛藤”を考えちゃって、ついつい彼に説教したくなった。しかし、これは”ノンフィクション”を”映画”にしたものであって、クリスの生き方を否定するものでもなく称賛するものでもない。ノンフィクションをノンフィクションのまま、映画を媒体にその文字の世界を現実の世界に戻したショーン・ペンの素晴らしい手腕に、拍手。

できれば20代にこの映画を見て、そしてもう一度今の自分の年に見てみたかった。クリスの親世代に共感してしまう自分が、年をとってしまったことを感じさせられ、それがちょびっと哀しい。

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