今日の日経文化面にティンパニ奏者の野村文子さんの記事が出ていた。99年からマンハイム歌劇場管弦楽団でティンパニの副主席を務めている方だ。入団した時はドイツのプロオケ市場初の女性ティンパニ奏者といわれたとか。
95年にドイツまで会いに行ったベルリン芸術大学のプント先生に、「日本で結婚してお茶碗洗ってなさい。」、と言葉のパンチをくらってからもしっかり食い下がり大学院に入学。在学中は先生を追い回し、無理と言われながらもヘッセン州立歌劇場管弦楽団に研修生として合格する。楽団100年の歴史の中で打楽器では外国人も女性も初めてだったそうだ。その後、オーディションさえ受けさせてもらえなかったり、落とされたりを繰り返し、ついに合格、マンハイムの楽団に入団する。
私はいつも大切なところでドドド~ンとおなかの底に響くティンパニが大好きである。そして楽団がマンハイムと知ると何とも懐かしい響きがよみがえってきた。私は80年代に1年ほどマンハイムで暮らしたことがある。野村さんも書いているように、町と歌劇場の距離が近い。当時は日本ではあまり見なかった思い切った斬新な演出のオペラやバレエを楽しんだ。またマンハイムには音楽学校(音大)があってそこの生徒たちとお酒を飲みに行くこともあった。
マンハイム城を前に碁盤の目のように整然と区画された市街地、緑豊かなルイゼンパーク、そしてゆったりと流れるライン川の岸辺で草をはむ羊さん。ちょっと足を伸ばせばハイデルベルグ(橋を渡れば工業地帯なんだけど)。モーツアルトも就活したというマンハイム学派の土地で、一人の日本人女性がマレット2本で道を切り開いていると思うと何とも嬉しい。いつかマンハイムで演奏を聴けることを夢見つつ、これからの活躍を蔭ながら応援しよう。
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