2008年12月2日火曜日

リトル・ロマンス

12才のアメリカ人少女ローレン(ダイアン・レイン)とフランス人少年ダニエル(テロニアス・ベルナール)、2人ともIQが高すぎて同年齢に話の合う友達がいない。そんな少年と少女が偶然ベルサイユ宮殿で出会う。はじめてのデートで知り合ったちょっと怪しげで博学の老人ジュリアス(ローレンス・オリビエ)から、ベニスに伝わるロマンチックな伝説を聞く。日没の鐘が鳴る間、ゴンドラに乗り”ため息橋”の下で恋人たちがキスをすると永遠に結ばれる、と云う。ローレンは父親の転勤でパリを去ることになり、ダニエルとベニスへ行こうと思い立つ。子供だけじゃ国境は越えられないので、ジュリアスに付き添いを頼んで家出。あんまし頼りにならないジュリアスとあれこれあって、2人はベニスに辿り着く。ケチなゴンドラの船頭を川にけり落とし、2人は”ため息橋”の下へ…。

ただお互いが好きというだけではなく、感性を共有する2人。大人社会の妥協、迎合、不条理、ちょっとした絶望感などを、それほど深刻ではないけれども、敏感に、あるいは予感のように感じ取っている。そんな子供たちを、一人前の人間として扱ってくれる大人たち。すっかり大人の世界の人間になってしまった私は、はたして自分はこの微妙な年頃の子供たちの”理解者”となっているのだろうか、とふと思う。

監督はジョージ・ロイ・ヒル。既に”明日に向かって撃て”、”スティング”等立て続けに名作を生み出していた1979年。ダニエルとローレンが入った映画館で“ スティング”が上映されている。しかし2人は”名作”を前に居眠り、クライマックス近くの銃声で目覚める。”ため息橋”に向かうため、映画一番の見せ場で席を立ってしまうダ ニエルとローレン。子供は結局映画を見てない、ヒル監督、何が言いたかったのかしらん。映画のラストシーンは記憶に残る。大きく飛び上がったダニエルの姿をとらえ映像がパッと止まる。”明日に向かって撃て”の2人が、飛び出したところで終わったように。

それにしてもダイアン・レインのかわいいこと!今はとっても素敵な女性に成長した彼女。
そして、ローレンス・オリビエ。なんだか見ていて涙が出そうになる、笠智衆さんを見ているとせつなくなるような気分、分かるでしょ?
”小さな恋のメロディー”はずーっとトロッコで行っちゃうところで映画が終わるけれど、子供ながらにあのあとどうしたのだろうかと心配していた。設定はちょっと違うけれどおそらく最後は”リトル・ロマンス”みたいに切なく、でも明るく、終わったかもしれない、と思う。子供の別れはなんて希望に満ちているのだろう。
久し振りに見たけれど、前見たときよりず~っと面白かった。

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