2008年1月9日水曜日

ワカのピアノの先生

ワカのピアノの先生はまだ若い。スレンダーで、おしゃれで、美しい。そして、細身なのに結構体力がありそうだ。朝から晩まで生徒を教えているのに、この6年というもの一度も風邪をひいた姿を見たことがない。これは脅威的だ。そして、一番すごいのは感情にぶれがない。爪の垢がいただきたいくらいだ。指導はというと、これが熱い。そしてめったなことではほめない。よってワカはよく涙目になっている。低い声でボソッと「今日は練習してきたじゃない」という言葉が出ようものなら、ワカは先生に「すごくほめられた」と小躍りする。

心身ともに健康だと、たいていのことはできる。だからどんな子供でも指導可能と思うのか、ワカのキャパシティーを数段超えていると思われるような曲を平然と渡す。ことの重大さをこれっぽっちも把握していないワカに、「あのね、発表会は暗譜だし、(アンプの意味がわかっていない様子)、しかもたった一人でみんなの前で弾くのよ。みんな一生懸命練習してくるから、たぶん間違える人もいないと思うしね。」云々。と説明してもマイペースのワカ。ピアノの前に座っているだけでは、ピアノの神は降りてきませんよ~。弾かないとね~。

いよいよ発表会もあと二週間、というところでもうだめだと思った私は先生に直談判。「曲を短くできませんか、2ページ目までなら何とかしのげますから、その後の転調もなしにすれば4ページ目までも大丈夫かも知れません。」とほとんどモンスターペアレンツ状態。が、当然のごとく「電子オルガンなら編曲してもいいですけどね、ピアノはできませんね。」と私の苦肉の策もあえ無く一蹴されてしまう。

そこからがこの先生のすごいところ。びっしり詰まったスケジュールに、ワカのレッスンを滑り込ませ、特訓開始(もちっと早く始めてくれてもよかったのに~)。しかし、これがボランティアなのだ。ひたすら頭が下がる。やっとおしりに日のついたワカは、後2日というところで暗譜までたどり着き、しかも本番はノーミスで弾き終えた。先生の熱いレッスンとワカの舞台度胸で泥縄発表会を乗り越えた。私はというと本番中はほとんど呼吸ができず、曲が終わったときはほとんど酸欠であった。

そうして見た「のだめスペシャル」。のだめが練習でぼろくそに言われている姿をみて、ワカはばつの悪そうな複雑な顔をしている。そして「すごいことになってるよね。僕のほうがちょっとマシだよね。」とかなり同情、シンパシーをびしびし感じたようである。楽器の経験がほとんどない私はここぞとばかりに、「みんなつらい思いしてるのよ、ワカだけじゃないから、大人でも大変なんだから。」 気分はピアニストになる息子への助言って感じ。ワカも自分がのだめになったような気分。二人でのだめにのめりこんだお正月でした。

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