何をやってもサマになるマット・デイモン |
ある日、デビッドの運命にあるアジャストメントを加えようとした「謎の集団」の中の一人がうっかり居眠り、そのせいかそのおかげかデビッドはダンサーに再会することができる。今度は名前もエリースと教えてもらい、連絡先も教えてもらってルンルンだ。
一方アジャストメントを加えようとした「謎の集団」は、担当者の居眠りのせいですっかり計画が狂い、デビッドが来る前に終わっているはずの”操作業務現場”を見られてしまう。彼らは口外しないことを条件に、”アジャストメント・ビューロー”((これが謎の集団の正式名なのだが)の仕事内容をデビッドに説明する。人類が横道にそれようとすると人間の運命に”調整”を加え、世界をまっとうな道に進ませようとしているらしい。彼らの計画ではデビッドとエリースは“絶対に一緒になってもらっては困る関係”で、世界の安定のため再会しないように警告。そしてせっかくもらった電話番号を捨てられてしまう。しかしその日から3年間、毎日同じバスに乗り、今度は信念(粘着?)の再会を果たすデビッド。手を焼いたアジャストメント・ビューローからはトンプソン(テレンス・スタンプ:相変わらず渋い!)というやり手が送り込まれてくる。トンプソンからはもう一歩踏み込んだ自分とエリースの運命を聞かされ、デビッドは断腸の思いで別れる要求をのむ。しかしやっぱりエリースとは一緒にいたい。そして始まるアジャストメント・ビューローへの抵抗。
予告編だけを見ると暗に「ボーンシリーズ」を引っ張ってきているので、影の組織に操られてそれを最後はやっつける話なのかと思ってしまう。しかしゼンゼン違うのだ、これが。原作者は「ブレードランナー」等の作者フィリップ・K・ディック。運命とはいかなるものか、というもう少し哲学的なもの。アジャストメント・ビューローはわけのわからない敵対する組織のように宣伝文句に入っているけれど、どちらかというと「ベルリン天使の歌」の天使のような役割。人間がわからんちんの時は調整を加えるけれど、それに立ち向かう強固な意志を持った時には尊重してくれる。そしてデビッドはアジャストメント・ビューローと戦うのではなく、彼らから”信念”をもって”逃走”するのである。
デビッドは選挙に敗れ政界から離れたとき、再生エネルギーに投資を始める。太陽光発電はお金がかかり過ぎるとする同僚は、アジャストメント・ビューローにちょっと調整を入れられ、デビッドの投資に賛成する。このあたりはサラリッと描かれているのだけれど、あまりにもタイムリー。私たちが民衆の力で、政治家や投資家のアジャストメント・ビューローになること、そんなことも大切なのかな、とふと思った。
でもって、モンスターズ・インクを思い出したのはわたしだけかな?