ソフィア・コッポラの”マリー・アントワネット”はなかなかよい。フランスでは賛否両論あったそうだが、いずれにせよ外国人の作った映画には、とかくご当地の人はうるさいものではある。
全編英語なのはアメリカ映画だから仕方がない、日本人の私が見ても多少の違和感がある。が、その違和感が彼女がフランスに受け入れられなかった根本的な理由のひとつ-すなわち彼女の母国語-を感じさせ、かえってよい効果を生んでいるように思う。
そして他のS・コッポラの作品と同様、静かに流れる透明感のある映像と軽快な選曲。なかでもパリの仮面舞踏会でフェルゼンに出会った後、夜明けの町を馬車でベルサイユに帰っていくシーンと音楽には、かなり心高鳴るものがある。(ン十年前の夜明けのディスコ帰りを思い出すって?)あ、残念ながらオスカル様はいないんだけどね。
キャストはキルステン・ダンストが14歳のオーストリア人プリンセスから3児のフランス人クイーンを違和感なく演じていて○。ぽよよ~んとしたルイ16世、アントワネットは決して夫のことを悪くは思っていなかった、と思わせる雰囲気があり、これも○。この人、タリア・シャイア(エイドリア~ン)の息子でソフィアのいとこだそう。フェルゼンは北欧というより南欧の人って感じで(アイルランド人だからラテンではないんだけどね)、私個人的理由で△。ハンサムなのは認める。 ジュディ・デイビスは、そこはかとなく漂うユーモアがいい。
さて、現在のベルサイユ宮殿。パリからパンを求めてやってきた群衆を見たとき、アントワネットたちはさぞかし驚いたことだろうと思われるが、今はパリどころか世界中から集まる民衆でごった返している。朝から謁見(?)を求める長蛇の列、庭には電気カートが走り、宮廷内の協会には仏教徒まで訪れる。これで借金も帳消しなのでは・・・?
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