2010年4月12日月曜日

第9地区

監督と脚本、ニール・ブロンカンプ。南アフリカ、ヨハネスブルクに突如宇宙船が出現し、そのまま街の上空に留まってしまう。宇宙船内のエイリアンは人道的手段をもって、難民として地上に移される。しかし人間とエビ(=PRAWN)に似たエイリアンの共存は難しく、宇宙船が停留してから20年が経った今、エイリアンはヨハネスブルグ市内の第9地区に隔離され、MNUと呼ばれる組織によって管理・監視されている。第9地区はスラム化し、ヨハネスブルグ市内の治安は悪化の一途を辿り、困った人間は郊外の難民施設にエイリアンを異動させることにした。MNUの職員であるヴィカスは新しい施設へ移動する同意をエイリアンから取り付ける最高責任者に任命される。同意とはいってもほとんど強制的で、ウムを言わさずサインをさせるか、言うことを聞かなければ暴力に訴え、酷いと撃ち殺してしまう。喜々として業務に励むヴィカスは、エイリアンの作った液体を自ら誤って浴びてしまい”何か”に感染してしまう。感染が広がっていくうちに思いもよらぬ困難が次々と襲ってくる。

この辺までは予告編からでも察しが付くけれど、こっから先はネタばれになるので黙る。1966年、当時の南ア政府がケープタウンの第6地区を白人専用地区に指定し、1982年に約6万人の人々を25km離れたケープフラッツに移動させた出来事がもとになっている。アパルトヘイトだけでなく、人間がエイリアンの居住地で武器を探し回る姿はイラク戦争を思い起こさせる。20年の間じーっと耐えながらその時を待つエイリアンのクリストファーはマンデラ大統領か。

ドキュメンタリータッチな画像と、(私たちにとって)無名な俳優の出演でリアル感が増大。CG技術は駆使されているけれど、演出家のイマジネーションを楽しむタイプの映画ではなく、本当にこんなことが起きるかもしれないと思わせるタイプ。『エイリアン』やクローネンバーグの『フライ』を見た時のあの新鮮な感動を思い起こさせる、正統派SF映画。絶対お勧め。

クリストファー親子、好感度大につき、しばらく大好きなエビが食べられなくなりそうなのは困った・・・。

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