2009年12月7日月曜日

Up 「カールじいさんの空飛ぶ家」


バージニア・リー・バートンの『The Little House』(邦題『ちいさいおうち』)という絵本、きっとみんな読んだことがあるに違いない。あのうちにはどんな人が住んでいるんだろう、と空想していたけど、その空想にもう1人カールじんさんが加わった。

カールじいさんはなんと78才。歩くのもおぼつかないのに、フウセンで浮かんだ自分の家を引っ張って秘境を歩き、妻との約束の滝を目指す。もっと元気なのは、冒険家チャールズ・F・マンツ(声はクリストファー・プラマー)。カールが子供のころにあこがれていたから、90才は超えてる、きっと。ああなると『地獄の黙示録』のカーツ大佐。この昔気質のおじいさん2人が、ベネズエラあたりの未開の地で大乱闘。カールじいさんのお供は呑気なワンちゃんと、ポケっとした怪鳥、なんとなく日本人っぽい顔立ちのラッセル君、これを『オズの魔法使い』と言っている人もいるけど、私には『桃太郎』のキジ、犬、猿。マンツじいさんのお供は犬語翻訳機をつけたおバカなワンちゃんたち。このお供がさんざん笑わせてくれる。どんなに真面目な顔していても、気取っていても、単純なんだよね、ワンちゃんって。

笑いすぎて涙が出るだけでなく、話には聞いていたけれども、かなしくって泣かされた。それも2度。老人が思う亡き妻、子供が思う離れた両親、人間いくつになっても何かを愛おしく思う気持ちは変わらない。そしてラッセル君は言った「いつも思い出すのは、どうでもいい普通のことばかり・・・」。そうなんだよね、ふと思い出す幸せな過去の記憶って、その時には退屈だった日常の繰り返し、みたいなものが多い。
 
カールじいさんの空に浮かぶ家は日常の形を持たない”記憶”、かなり重たい。そういう私のメモリーもだんだん重くなってきた。あんまり思い出が重くなりすぎたら、引きずるのをやめる。大事なところに閉まっちゃって、新しい思い出を作ればいいのだ。そのためにも、夢は思いっきり大きくて、1人でも追いかけられるものを持とう。思い出に引きずられてさみしくなるのは悲しいもん。 とはいっても私、なんでもすぐ忘れちゃうから、そんな心配いらないのかもしれないけどね。

0 件のコメント:

コメントを投稿