マイケル・マン監督。
1933年、治安維持や犯罪捜査の世界では、若きJ・エドガー・フーヴァーがBOI(捜査局)の長官、その捜査局がDOI(捜査部)に改名。州をまたいでの犯罪を裁く法律の足固めが進んだ年でもある。DOIはのち1935年に現在のFBIに改名。一方、犯罪の世界も銀行強盗のようなリスクが高い犯罪から、通信を使った”楽”な方法にシフトし始め、また、広域捜査に関する法律に対してその形を変えつつあった。
画面に映っている俳優、エキストラ全ての人間が振り付けの指導を受けたように動き、またそれを流れるようなカメラが絵画のように切り取っていく。手持ちカメラをふんだんに利用して、中盤デリンジャーが脱獄不可能と思われた刑務所から、ほとんど丸腰で脱獄するシーンの完璧なテンポには思わずうなってしまった。
カメラの美しさと脇役の意外な存在感、又その激しい銃撃シーンに、メインのジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)、ビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)、メルビン・ハーベス(クリスチャン・ベイル)の印象が薄まってしまうほどだ。
マリオン・コティヤールは、ヨーロッパの女優もっている魅力の深さが十二分に発揮されていないような気がして残念だった。素敵な女優なのに、彼女のせいではないと思う。
クリスチャン・ベイルは、勿論べレンジャーが主役であるからして、薄めであるけれども、感情を表に出さない(出せない?・・失礼!)あの顔つきがぴったりはまっていたように思う。
ジョニー・デップはあんなにコイ役柄をコクしない、髪の毛からコートのすそまで計算された動きで美しいギャングである。
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