シアターコクーンでの今年の野田マップは”パイパー”。
宮沢りえと松たか子のダブルヒロイン。終盤での2人の長い掛け合いのシーンでは、松たか子さんのセリフのリズム感の良さに感服した。その場面、りえちゃんのセリフはちょっと短めで繰り返しが多いんだけど、合いの手の入れ方がこれまたがうまい。この芝居の一番の見せ場ではないかと思う。
お父さんの橋爪功さんは貫禄。間の取り方が実に絶妙で、こんな言い方をしたら失礼かもしれないけれど若々しい。野田秀樹さんは声をからして全身全霊頑張っていた。自分で書いた本だから自由自在にセリフが操れるのはいいのだか、多少誰かが止めてくれてもよいのではないか、と思うセリフ回しはあったことにはあった。さとえりちゃんはきれいな脚だった。
そして特筆すべきはサラリーマン体操でおなじみの”コンドルズ”。群衆シーンやパイパーの動きは素晴らしいの一言。ダンサーたちはバレエのコールドのような四肢の美しさがあるわけではない。が、人数、配置、塊としての動きは新鮮で完璧、感服した。素晴らしい振り付けだった。
幸せを数値にすることの不毛さ、地球上の資源を食いつぶす浅はかさ、そして考えることなく何かに追随する幼稚さなどに対する怒り。不条理なセリフやおやじのダジャレで笑わされても甘くない現実、舌に残る苦い後味。そんな野田さんの世界がそこにあった。
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