原題は"In the shadow of the moon"(公式HPはタイトルをクリック)。
12人の月に降り立った宇宙飛行士たちのインタビューと、デジタルリマスターされた当時の映像でつづられるドキュメンタリー映画。米ソ宇宙開発競争の中、ケネディ大統領の音頭で始まったアポロ計画。しかしそんな政治的問題とは別に、アポロを38.4万キロの彼方に打ち上げたものは、人間の純粋な探究心や好奇心、そして宇宙飛行士の勇気だったのではないかと感じてくる。
多くは飛行機のパイロット(映画にもなった“ライト・スタッフ”)であった彼らは、宇宙飛行士としての訓練を受ける。また月に降り立っては未知のものを探す科学者としての役割も担う。そして月での任務を終えた故郷である地球への帰路で、彼らはものの存在やら真実について悟る。さながら哲学者である。
「太陽、月、地球を窓から同時に眺めると不思議な感覚に襲われる。月や地球の分子も、自分の体の分子も、となりに座っている同僚の分子も、すべてはるか昔の宇宙に存在したたった一つの分子からは出来上がっているのだ、ということに気づく。だから私と他人、他の物体はそれぞれ別々に存在しているのではなく、同一のものであるということだ。」というようなことを(うろ覚えであるが)宇宙飛行士の1人が言っていた。別の宇宙飛行士は宗教を超えた霊的なものを感じる、とも。
69年、人類はじめての月面着陸の時、私は白黒テレビの中で、ふわんふわんと月面を歩く宇宙飛行士を見た。巷では”ドッキング”という言葉が流行り、”アポロ”という名前のイチゴとチョコレートがドッキングしたチョコレート菓子(今でもあるよね)を食べた。72年から誰も月には行っていない。この12人に続くのはどんな人たちなのだろう。そこの公園でボール遊びをしているあの子かもしれない。
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