シカゴで乗客が全員死亡する列車爆破事故が起こり、事件を解明すべく政府の極秘ミッションが始動。爆破犠牲者が死亡する8分前の意識に入り込み、犯人を見つけ出すという。その任務に、アフガニスタンで従軍するスティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)が選ばれる。限られた時間の中ではそう簡単には犯人は見つけられない。そのため何度も8分間の任務を繰り返す事になる。しかし、スティーヴンスは指令側の奥歯にものの挟まったような物言い、自分の時間や記憶のつじつまが合わないことに疑問を抱き始める。
監督ダンカン・ジョーンズの一作目「月に囚われた男」と同様、主人公は隔離された中で仕事をしているが、自分の置かれている状況に疑問を持ち始め、残された時間が少ない事が分かる。しかし、最後まであきらめず、限られた時間の中でぎりぎりまで力を尽くす。生きたい、という人間の本能が描かれている。
スティーヴンスはこの8分の短い時間の中で、任務と恋の二兎を追う。スパイものと違い色気を出している暇はないが、目の前の美しい人が任務遂行の重要なモチベーションになっている事はたしか。しかし、たった8分とはいえ積み重ねていくと、時間の使い方はどんどん効率的になっていく。特に自分がどんな状況に置かれているかが分かってからは、優先順位がクリアーになる。これはみていて気持ちがいい。
自分がいる場所は真っ暗で狭いし、電車に戻れば撃たれ、殴られ、轢かれ、爆発でとばされの、過酷な世界を行ったり来たり。しかし「過去が変えられる」という主人公の気づきが、映画全体に希望という明るいトーンを与えてくれる。そしてラストは、私みたいなハッピーエンドが好きな観客にもそれなりに満足できる、上質な娯楽性をも兼ね備えた映画と言える。ツジツマが合っているような、いないような、私の頭ではよくわからないところもある。ホーキング博士の宇宙論、劇中ちらりとスティーヴンスが言及する量子物理学、これらが分かっていれば、もっと堪能できたかも。
出演者のイチオシは、軍服姿のグットウィン大尉(ヴァラ・ファーミガ)。勇気のある美人は、カッコイイしセクシー。
今ひとつなのは、邦題。原題の”ソースコード”の意味は、
「人間がプログラミング言語を用いて記述したコンピュタープログラム。そのままではコンピュー上で実行することはできないため、コンバイラなどのソフトウェアを用いてオブジェクトコードなどのコンピュータの理解できる形式に変換され、実行される。」
・・・よくわからないけれど、映画見ると何となくわかる。題名が変わると映画の解釈も変わってしまうと思うのだが。
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