2011年3月27日日曜日

トゥルー・グリット Ture Grit

人間だけでなく馬も頑張っている
 マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)の父親が、雇い人のトム・チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に撃ち殺された。14歳とは思えぬほど賢くしっかりしたマティは、気丈にもひとりで父の遺体を引き取りにオクラホマ州のフォートスミスへとやってくる。チェイニーは既に姿をくらましており、仇打ちを硬く決意したマティは連邦保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)に犯人追跡を依頼する。またテキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)は別の容疑でチェイニーを追ってフォートスミスへ来ていた。先立つものに困っていたルースターは手数料もさることながら、何よりも一歩も引かないマティの強い意志に根負けし仕事を引き受ける。ルースターとラビーフは足手まといになるであろうマティを置いて追跡を始めようとするが、必死で後を追う彼女(このシーンがまたいいのだ!)をしぶしぶ受け入れ、3人の過酷な旅が始まる。
行く先は過酷な自然のみならず、最低限度の人権しかない無法地帯。マティの頼みの綱であるはずのルースターは、働き盛りはとうの昔に過ぎ、のらりくらりの大酒飲みで、しかも片目で射撃の遠近感もとれない。経験だけは豊富で、高みから人を眺めるルースターは、マティやラビーフのアオサを小ばかにする。しかし、観客の期待通り、マティの勇気にいやいやながらも正義感を呼び覚まされていく。西部劇や時代劇の醍醐味だ。

「ファーゴ」でもそうであったけれど、ただただ単純に生きる人間の姿が滑稽で哀れ。それでもちっぽけな存在の人間が見せる勇気や信念はあっぱれ。それは雨や星や森や川の流れのように、まさしく自然の姿そのものなのだ。何よりも悲しいのは流した血や涙ややさしさを、あっという間に時がまとめて遠い彼方にもっていってしまうこと。

俳優陣の馬術には見とれてしまう。それにしてもジョシュ・ブローリン、またまた新しい顔を見せてくれた。この人はいったい何人いるのだろう?と思ってしまう。

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