2009年7月8日水曜日

熊本県のカバちゃん

・・と言っても、動物園のお話じゃなくって、蒲島郁夫県知事のこと。お話を聞く機会があり、略歴がとてもユニークだったので、駆け足でご紹介。

<誕生>
農家の8人兄弟の一人として昭和22年に熊本で生まれた。
将来なりたかったものは3つ、1.小説家、2.カウボーイ、3.政治家。しかし高校卒業時は230人中200番の成績で大学進学は諦め、小説家の夢はここで露と消えゆく。

<アメリカの農業>
高校卒業後は農協に努めたものの、やはりカウボーイになりたくてアイダホに農業研修生として渡米。研修生というと聞こえはいいけれども、今日本で問題になっている安い労働力制度だったように思う、と。御苦労されたのでしょうね。

研修期間中、短期で農業を大学で勉強する機会に恵まれる。それはとてもよい経験で、辛い研修が終わった後、晴れてネブラスカ大学農学部に入学。そこで、繁殖生理学(豚の精子の保存)について学ぶ。ちなみに人間や牛と違って豚の精子の保存はとても難しいらしい。

めでたく卒業を迎え(おそらく苦労されたとは思うが)、教授に大学に残るように勧められる。しかしどうせ勉強するならば、”豚の精子”よりもっと自分のやりたかったことをしようと思い、もう一つの夢、政治家を目指すべく、ハーバード大学大学院に入学。
・・・そ、そんなに簡単に?と思っていたら、「一度も政治を勉強したことがない上に、子供が2人いるので奨学金を欲しいと申し出たにもかかわらず、よくハーバードが私を受け入れてくれた」とおっしゃっる。本当に優秀な方なのだろう。大学院卒業、28歳。

<帰国>
平成3年から筑波大学教授、そして平成9年には東京大学教授。

平成20年3月、選挙資金たったの数100万円、しかしダウンズの理論と人間性を武器に、他の4人の候補者を大差で破り、無所属で熊本県知事当選。
当選後については、私、政治ド素人でましてや熊本県人でもないので割愛するけれども、知事の報酬カットやダム建設中止等等、ご存じのとおり。

「今の立場が悪ければ悪いほど、可能性がある」とさらりとおっしゃる。
「国政に興味はあるか」との質問に、
「”忠臣はニ君に事(ツカ)えず”、私は熊本県民にのみ仕えます。答えはノーです。」
その潔さと、判断力の強さ、行動力に、救われた気分がした。

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