2008年11月4日火曜日

ヴィルヘルム・ハンマースホイ

国立西洋美術館でヴィルヘルム・ハンマースホイを見た。デンマークの画家で生前は有名だったのだけれども、亡くなってから長い間忘れ去られていたそうだ。ミニマリズムな室内のしかも同じ場所を、時間・季節を変えて何枚も描写している。写実的であるけれども、どこか夢の中で見たような非現実的な風景にも見える。その光の移動や強弱が織りなす陰影は、フェルメールに影響を受けたというのもうなずける。

自分の良く知る人物しか肖像画は描かない主義だったそうで、彼の作品に出てくる多くの人物は彼の妻、イーダ。しかしほとんどが後姿。室内もイーダの服装もグレーの濃淡が織りなす静かな世界、ひときわイーダのうなじが白く美しい。あんまり写実的に描かれるのをイーダが嫌がって後ろ向きが多いのか、ヴィルヘルムはうなじが好きだったのか。だとしたら江戸時代のようで風流ですな。
北欧の低いく薄い光に包まれた絵がほとんどの中で、緑と青が鮮やかな”ライアの風景”と黄色い光に照らされた”ローマ、サント・ステーファノ・ロトンド聖堂の内部”が別の世界のようだ。
絵で空気を描くことができるのだ、と実感した展覧会だった。

すっかり魅せられてしまった私、カタログを買おうと思ったら・・・、あまりにも現物と色が違うのでやめてしまった。あの光と色は頭の中にとどめておこう。

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