4日間の出来事を挟み同じシーンが繰り返されるのだが、2度目に見る主人公マイケル(ジョージ・クルーニー)の一挙手一投足がまったく違って見える、見る側の心理を突いたカシコイ映画だ。俳優は多くを語らず、カメラも静かに動く。70年代の映画の趣がある。
人の善悪を色で表すと白とか黒ではなく灰色で、人それぞれ白黒の割合が違う。いろいろな割合の濃淡を持った人たち(でも、殺し屋の二人は黒だ、黒!) 、その濃淡が変化する姿を演じる俳優は誰もすごい。
マイケルがぼろぼろになりながらも自分の子供に「大人に絶望するな、心の強い人間は大丈夫だ。」と言い聞かせる場面と、そして、さらにもっとぼろんぼろんになって、突然美しい風景に心奪われる場面が心に残る。それでも人間は一縷の望みと投げなしの正義で、大きな不安に打ち勝とうとがんばっているのだ。
ラストシーンは崩れ落ちるカレン(ティルダ・スィントン)と、タクシーに乗っているマイケルの表情が素晴らしい。(映画詳細はタイトルをクリック)
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