2008年5月13日火曜日

酒井家のしあわせ

普通の家族が、片田舎で普通に生活している。
世の中がなんとなく見えてくる次雄(中学生)には、親はサエナクみえるし、妹は訳の分からない幼児、先生はノウテンキ、友達もなんとなくうざったく感じる。すでに都会には見られなくなってしまった懐かしく優しい心のふるさとのような風景の中を、少年のもやもやはうろうろと徘徊している。

やがて次雄はいい加減に見える大人たちが、自分の考えが及ばないところで一生懸命生きているこにも気づくし、そして、子供という立場の傍観者でいることからちょこっと抜け出す。次雄を取り巻く大人たちはそれぞれ大きな荷物を背負ながら、平凡な生活をこつこつ守っている。意識的に無意識を装っているのかどうか分からないけれど、その淡々とした平凡な大人たちの力強さが大好きだ。普通の家族と町の風景に一度も飽きることもなく、私の中ですべてが普通から特別な存在に変わって行った。

空にも舞い上がるような、人生が180度ひっくり返るような幸せは、生涯に何度くらい訪れるのだろう。暖かいお布団、美味しいお味噌汁、雨上がりの香り、子供の笑顔・・・・。日常に転がっている小さな喜びを積み重ねて平凡に生きていくことが、とても難しくてとても大切だということに、私はいつごろ気が付いたんだっけ・・・。

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