デヴィット・フィンチャー監督。
03年秋。米ハーバード大学に通う19歳のマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、頭の回転が超が付くほど速い。同時に大人のコミュニケーションがまったくと言っていいほど出来ないため、大好きな彼女を怒らせてしまう。“コンピューターオタク”のマークは彼女への腹いせにブログに彼女の悪口を書き込み、それだけでは腹の虫が収まらず酔いに任せ、ハーバード大学の各寮をハッキングし、女子学生の写真を集め、あろうことか“ランク付け”をし、一晩でアクセス数を増大させ、大学サーバーをパンクさせる。映画はここまで彼の早口さながら一気。それがきっかけで、彼のうわさを聞きつけたエリート上級生にハーバードコネクションのアイデアを持ちかけられる。
ハーバード大学でリアルなソーシャルネットワークを築き上げるには、出身や容姿や運動能力や親の財力などが要になる。大学内のエリートクラブに加入するには、ばかばかしい入部テストをパスし、仮に入部できてももっとばかばかしい洗礼儀式が待っている。そんな閉鎖的なコミュニティーの中で、フェースブックはあっという間に伝統やら特権などの垣根を取っ払い、ネットワークを作り上げてしまった。ビルゲイツの顔さえ知らない若者たちの新しいネットワークだ。
若者と大人、金持ちと貧乏、カッコイイ人とダサい人、天才と凡人、それぞれがそれぞれに嫉妬や羨望を抱き、何か他人とは違ったことをしてやろうと生きている。マークがただのコンピュータ天才オタクだったのか、とてつもない策士だったのかはこの映画からは分からない。脚本のアーロン・ソーキンは主人公のマーク本人に取材を申し込んでいたけれど断られ、結果本人の息のかからない作品が出来上がった。フィクションであることが、若者達の会話を実に納得のあるものに仕上げている。
息もつかせぬ素晴らしい脚本、はITによるまったく新しい世界の展開をナットクのいく会話でつないでいく。マークはフェイスブックを立ち上げた後、同世代の若者から2つの訴訟を抱えることになる。熟練の弁護士が、”若者のケンカ”に大真面目で立ち会う姿が滑稽だ。そんな中、保守的な学生とリベラルなハーバード大学長との会話は実に面白かった。又、ラストシーンがこの映画を実に意味あるものに締めくくったように思う。数え切れないほどのネットワークを築き上げても、巨万の富を得ても、たった一人の女の子と友達になりたい。ネットワークというのは広く浅くでは無く狭く深くが基本なのかも。
「ゾンビランド」のジェシー・アイゼンバーグ君、ウディアレンばりの早口で、いけ好かない、けれど憎めない若者を実に自然に演じている。注目。
オットに勧められ、私も”フェースブック”にアカウントを作ったけれど、これが、実に面白のだ。
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