2009年8月31日月曜日

GOOD, BAD, WEIRD

2007年韓国、キム・ジウン監督。これはすごい。久々に興奮した。ちょっと前にスキヤキ・ウエスタンがあったけど、こちらはキムチ・ウエスタン。カメラ、ストーリー、音楽ともばっちり。俳優陣は特にいい。

グエルム”を見てすっかりソン・ガンホ(WEIRD役)さんのファンになった。この人のすごいところは天性のユーモアと品格が全身に宿っているところ。汚れて、情けない、いい加減な人を落とすことなく絶妙なさじ加減でヒーロー一歩手前(これがまた難しい・・)まで持ち上げるあの技量。顔だけではなく指先、また寝息一つにまで役者魂が漂っている。

そして、イ・ビョンホン(BAD役)。西洋人にはない東洋人の細い筋肉をキリキリに絞りあげ、ゲゲゲの鬼太郎カットからアイラインばっちりの片目をギラリとのぞかせて、鷹のように冷酷なワルモノを一瞬たりとも無駄のない動きで演じている。GI・ジョーでも上半身裸だったなぁ・・。

何よりもかっこいいのは、チョン・ウソン(GOOD役)。”MUSA”しか彼の映画は見ていないのだけれど、その時もそのエレガントな容貌に息を飲んだ。しかし今回はその比ではない。身長187cm、胴だけでなく脚が長い。その長~い脚で疾走する馬にまたがり、すらっと伸びた上体はゆるぎなく、片手でライフルをくるくる回しながらガンガン打ちまくる姿に、私のハートも穴だらけ・・・。

ちょっとばかしタランティーノが混ざってるけれども、とにかく西部劇のエキスはちゃんと全編にふりまかれている。フルスピードとデフォルメされたキャラクター。これは良し悪しかな?気だるさだったり、切なさだったりそんなロマンがもうちょビットあれば言うことなし。

2009年8月22日土曜日

赤塚さんちの菊千代

まずはタイトルをクリックするベシ。

青梅赤塚不二夫会館の「天才バンザイ猫 菊千代展」を見てきた。19年間”猫の皮をかぶった”赤塚家長男”として、不二夫さんの飲み代を稼いだり、日本中の赤の他人(私のような)をとりこにした菊千代。 その菊千代の姿が9月27日まで写真やらビデオで存分に見られる。さらに、もりわじんさん作「招菊千代」御開帳も。
しかし、虚勢したときの菊千代のXXXマがホルマリン漬けで展示されていたのにはびっくりなのだ・・・。

特にビデオには爆笑。
赤塚氏 「お前が死んだらアメリカンショートヘアを飼う」
菊千代 ガブリと手に噛み付く。
赤塚氏 「イタタタ・・、アメリカンショートヘアはかわいいよね~」
菊千代 に”ゃ~ と怒りながら赤塚氏の手をさらにガブガブする。
   赤塚氏はそれでも菊千代のカンに触りそうなことをずっと言い続ける。
赤塚氏 「やっぱりワンちゃんを飼おう、ワンちゃんかわいいな~」
菊千代 堪忍袋の緒が切れて、ガバッと赤塚氏の顔に飛びかかる。後ろに倒れる赤塚氏、それを尻目に怒ったように向こうに走っていく菊千代。

・・・どこかで見た光景。うちでもたま~にこうした”猫いじめ”をして楽しんでいる。この前もミケ子に「あ~柴犬が欲しい!柴ちゃんかわいい!お外も一緒に言ってくれるし、呼べば走ってくるし。」と、こんな神経に障るようなことをねちねち言ってみた。だんだんミケ子の眉間に皺がより、尻尾でバシバシ床を叩いて、ほんと~にうるさそうにしていた。ウフフ・・・。
人間の言葉はしゃべれないけれど、きっとヒト一倍分かってるんだろうな、人間のいってること。

とし子さん行ってね!

2009年8月14日金曜日

Dr. House

数週間にわたって開催されたハウスのオーディション、”アメリカン・ドクター”もやっと終って新しいチームメンバー3人が決定。今週はなんとあのミラ・ソルビーノ登場。

南極で働く隊員の精神科医ケイト(ソルビーノ)がゲロゲロしながら倒れてしまう。南極は今、一番厳しい季節、救急を送ることも向こうから戻ってくることも不可能。そこでハウスたちがウェブカメラを使って遠隔診断、ケイトはその診断通りに自分で治療をすることに。初め乗り気じゃなかったハウス、画面の向こうのケイトを見たとたん目の色が変わる。二言三言言葉を交わしたらだけで、ぞっこんのよう(ヒュー・ローリーこの辺大変うまい!)。さてハウス帰宅してからも時間外などぜんぜん気にせず、自分の好きなようにず~っと診断を続ける。しかしどれも適切な治療にはならない。まるで隔離された南極は”アポロ13”のよう。限られた治療器具しかなく、ゼムクリップまでつかって病気の検査が進んでいく。

ケイトは言われたことにテキパキ反応するし、人間的な洞察力にもすぐれている。ハウスが診断と称し、セクハラまがい(いやあれは間違いなく・・・)なことしても、あくまでも同業者として堂々と応じる。
ハウスに薬を飲むことを進められるけれど、限られた量しかない薬は隊員用としてストックするため、はっきりとした診断結果が出るまでは飲むことを拒否。なんたってその覚悟・倫理感・自己犠牲みたいなものが医者としての彼の心をくすぐる。恋に落ちかけていたハウス、このあたりから一気に落下の加速度が増す。かっこいい、女の私でも惚れてしまう。

アブナイ生体実験大好きだったはずのハウスは、彼女をできるだけアブナイ目に合わせずに治したくって必死!ウィルソンにもフォアマンにもハウスの乙女心(?)ばればれ、ハウスの怒りながら照れてるところがかわいい。なんたってハーバード卒でアカデミー賞受賞者だもの、あ、それはソルビーノだけど、ま、ケイトはそんな感じ。

ところがハウス、いくらイイ女がいようと、ひとつのことにのぼせることはない。ウィルソンに新しい彼女ができたのではないか、とケイトの診察の合間に捜査。さらにTVっこのハウスは病室のケーブル放送が予算の関係で有料になっちゃって、無料視聴に戻そうと新しい3人の弟子を走らせる。忙しい、ハウス。

彼の知性と恋心をもってしても、南極の厚い氷を溶かすことはできなかった、ま、傷が浅くてよかったね。しかし、彼をたまげさせたのは、ウィルソンの彼女。なんと、あの”Bitch”(失礼、でもハウスがそう呼ぶんだモン)。ウィルソンもハウスに負けず劣らずオモシロい。

来週が楽しみなのだ。

2009年8月12日水曜日

去年の夏は遠い

ワカは昨日キャンプに出かけた。

今まで学校の宿泊行事が全部で4回、それに個人でのキャンプなどが4回、合計8回。我が家では嵐の前の静けさ、ならぬ、静けさの前の嵐。宿泊準備が穏やかに(”私が”、だけど・・)終わったためしがないのだ。せっかち&(他人には)完璧を求める私、毎回テンションがあがり、最後はいつも「なんで自分でちゃんとやらないの~!」と大声が出てしまう。通信簿やらテストの点数なんぞはどうでもいい!(良いに越したことはないケド)、しか~し”計画、準備、生理整頓、時間厳守”これって基本!!・・・あ、またテンションあがってきた。

と、ところが、な、な、何と!今回は実に落ち着いて自分で持ち物の用意をしているではないか。なぜ突然に?驚いた!ワカには悪いけど。能ある鷹は爪を隠していたのか?いや、そんなことはないだろう。幼虫から一気に蝶へ変身か?

じょじょに進歩してくれていったなら、こんな気分にならなかったのであろう。毎回目くじらを立てていたのに、こんなに突然変わられると拍子ぬけ。そして、さみしいんだなぁ、これが・・・。すっかり”おいてけぼり”をくらってしまったような。あの何にもできなかったワカが何とも懐かしいのである。もう一回あのボ~としたワカが見たくなるのだ。でもあんなに指導した後で、「ちゃんとするな!」とは言えないしね。

親のわがまま、ほんと、滑稽だ。涙が出そう。

2009年8月10日月曜日

ボルト

のっけから、CG技術に目を見張る。風景、部屋の中など実写のようだし、ワンちゃんの毛一本一本の動きなんぞはオドロキ。でもこれ、ピクサーじゃなく、ディズニーのアニメ。

ワンちゃんの一途で、ま、早く言えば単純な性格、それが笑いのツボで(昔志村けんが犬になっちゃったコント思い出す)、ホンワカと笑えるシーンが沢山。それに輪をかけ笑わせてくれるのが、ド単純なハムスター君。丸い透明の入れ物の中でくるくるくるくるくるしながら大陸横断、すごい。

そして最小メモリー搭載の鳩君たち。この鳩君たち、見た目は限りなく本物に近く、そして果てしなくボケている。常々鳩を見ながら思っていた。空を飛べばいいものをなぜ早足で地面を走りながら逃げるのか?目が横についているからしょうがないけど、なんだって目の前に落ちたものが首を左右上下に動かしても見つけられないのか?何が起きても顔色変わらないし、怒ってるんだか笑ってるんだか、もしかして本気で笑いを取ろうとしているのか?と思ったりしていた。映画を見ながら、海を越えた向こうでもおんなじこと思ってる人がいるのだな、と思わずにやり。そしてCGの鳩君たち、動きが何とも精巧で、鳥ぎらいのオットはその首の動きがあまりに生々しく、鳥肌立てていた。

声は誰かと申しますと、主役をジョン・トラボルト(暑いのでヒンヤリすること言ってみた)。ほかにはペニーのマネージャー役を”アリー”でリチャード役だったグレッグ・ジャーマンなど。

昔見た”三匹荒野を行く”(1963)という2匹のワンちゃん&猫ちゃんの映画を思い出した。

2009年8月8日土曜日

Adam Lambert

abc 放送のGMA Summer Concertに出演。
タイトルをクリックしてね。

まずデイビッドとアダムとクリスが3人で、出番少ないけど、アダムの声は際立っておる。デイビッド独唱の後はアダム。前髪が舞妓さんのようにシッカリ盛り上がってマス。ああ、素敵。

2009年8月7日金曜日

ウォレスとグルミット「ベーカリー街の悪夢」

今日、8月7日はウォレスの誕生日。グルミットは12月らしい。

第一作”チーズ・ホリデー” (A Grand Day Out)から何と20年。私が初めて見たのは”ペンギンに気をつけろ!” (The Wrong Trousers)で、確か動物園の動物たちのぼやきが聞けるリップ・シンクシリーズ「快適な生活(Creature Comforts)」と一緒に上映されていたような・・・。記憶があまり定かじゃないけど1995、6年だったように思う。一緒に映画を観終わった後、”かわいい”という言葉がキライなオットや渋好みの男友達も、”かわいいなぁ”と言っていたのを思い出す。

最近のドリームワークスとの共同作品は、面白いけれども、どこかしっくりこなかった。ピリッと山椒が聞いていないとでも言いましょうか。しか~し新作「ベーカリー~」はよい、やっぱりこの路線だ。ブラックユーモアと映画ファンが喜ぶパロディー満載。中でも大笑いしたのは”ゴースト”。ま、”ゴースト”はパロディーにしなくても笑えるけども。
そして、「パン人はだれだ!?」のコピー(ポスター見てね)。健闘はたたえる!けれど、なんというか・・。

さて、今回「ベーカリー街の悪夢」と過去の3作品(チーズとペンギンとサイバードッグ)の4本立てを見たのは、渋谷のシネマ・アンジェリカ。ああいう小劇場はとっても好きなんだけど、空調の利きが悪く、劇場内が蒸し暑かった。おまけに新作以外は家でシツコイ子供につきあって何万回(大袈裟!)もDVD見てるし、暑さとあいまって、チーズとペンギンの時はテレビの前で寝ているお父さん状態(スイッチを切ると「見てる!」と起き上がるみたいな)。最後のサイバードッグの”危機一髪” (A Close Shave)でようやく意識が戻る。

・・・何回もDVDで見たとはいえ、映画館で見ると一味違う。やっぱり映画はいいなぁ。

2009年8月3日月曜日

ROCKY

初公開以来だから、30ン年ぶりに見た。

1977年、家庭ではビデオも普及しておらず、毎日目や耳に入ってくるヴィジュアルはキャンディーズや、ピンクレディ、ジュリーなど。そんなナイーブな私が見たロッキー・・・、
”ボクシングで生きていくために貧乏生活を余儀なくされた好青年が、やっとチャンスをつかんで今まで以上に努力。お友達はこつこつと精肉店で真面目に働く正直者。その妹エイドリアンは、本当はきれいなのにお金がなくっておしゃれができないが、ロッキーのひたむきさが彼女を変身させる。いつでもドリーム・カム・トゥルーのアメリカはすごい!!”こーんな印象で、あのファンファーレに鳥肌立てながら見ておった。

30年はちと長かった。あんなに感動した割には、冒頭から全然覚えてないシーンの連発、そしてナイーブなお年頃に見たもんだから”今更なにいってるの?的”事実(私にとっては新発見)がいろいろ。冒頭、ロッキーは不良少女に一生懸命まっとうな道を説くものの、最後にアッカンベーをされてしまうところなど、当時は、なんて子供だ、ケシカラン!と思っていたけれど、今回あらためてロッキーの英語を聞き、そのあんちゃん言葉にたまげた。彼女の「なんたってあんたからそんなこと言われなくちゃなんないのよ」と言いたくなる気持もワカル。字幕をおってるだけではなかなか分からないものだ。ロッキーやエイドリアン兄のお下品な言葉使いは、ひじょ~にマイルドに翻訳されているし、口癖なども全部省略されている。字幕は好きなんだけど、難しいところである。そして、そんな下層階級の青年をかなり上手に描き、演じたスタローンに驚く(地のままって話もあるけど)。

70年代は”大衆映画”に大きな流れが2つ、ひとつは「ポセイドンアドベンチャー」(69)に始まって「タワーリングインフェルノ」(74)のような新旧大スター総動員でヒーローが頑張る”大作災害映画”、こちらは単純系。もう一つは「俺達に明日はない」(67)くらいから始まる演技派俳優が社会に深く入り込む”ニューシネマ”、こちらはチョイ複雑系。しかし、「ロッキー」はそのどちらにも当てはまらず、いや、どちらにも当てはまっていたというべきか。低予算でパットしない俳優陣が実にうまく役にはまり、しかも白人の貧困層とスポーツビジネスという社会問題をサラリと映像化している。人情があふれ暖かい”ヒーロー”が主人公で、世の中の理不尽さを突き詰める暗~い映画でもない。その上、普段はボクシングを見ない人でも映画を見ただけで、アドレナリンが湧いてくるような作品なのである。絵にかいたような単純なストーリーで、「そっか!この手があったのか」とみんなが思うような作品なんだけどね。付け加えれば、もしかしたらスタローンの苦労話もロッキーのようにプロデューサーが話題作りに仕掛けたんじゃないかと勘繰るくらい。
そんなこんなで、”ジョーズ”が現れ、”ロッキー”現れ、とどめの”スターウォーズ”ですっかり”ニューシネマ”は影をひそめ、災害映画に出ていた往年のミュージカル俳優は”ザッツ・エンターテイメント”に集合した。

スタローンはデビュー作からあの威勢のいいロッキーのテーマにのり、とっとっとーっと社会派筋肉路線に・・・。ロッキー成功の後、少し立ち止まり、タリア・シャイアにくっついてコッポラ路線に転んでいたら、別の映画人生があったのかもしれない。タイプが違うけど、メル・ギブソンが監督作品であちらこちらの境界線を歩いているような、そんな映画人生もあったような気がするのだ。ちょっと残念。因みに”ロッキー”以降このシリーズを私、イッポンも見てない。