2011年2月28日月曜日

英国王のスピーチ King's Speech

こんなシーンはないけれど、三人の性格が良く出ている

とにかく俳優陣だけでも観た甲斐があるというもの。コリン・ファースとジェフリー・ラッシュが水を得た魚のように演じている。ヘレナ=ボエム・カーターも久しぶりに”普通の人間役”に戻って安心した。ガイ・ピアーズも好演。

主人公ジョージ6世の父ジョージ5世が「昔は王の仕事だけをしていればよかったけれども、今は国民のご機嫌をとる”役者”の仕事もしなければならない」と言う。 原稿を読むことで仕事がこなせるのであれば簡単そうであるけれども、英国王といえば、当時なんと世界人口の4分の一を治めてていたイギリス連邦王国の元首である。たまたまその王家に生まれたということで向き不向き関係なく”職業”が決まり、話したこともない庶民を思いまつりごとを行うなど簡単なことではない。自覚があれば。王室に生まれたが故の幼児期のつらい体験、自分の責務の重さを真剣に考えるジョージ6世の不安は、吃音という形になってまとわりつく。

仲のいいご夫妻をみているのが気持ちいい
努力の甲斐あって、ドイツとの開戦のスピーチを無事終える国王。スピーチの内容は非難されるべきことはない。しかし、これからたくさんの人が戦争で死んでいくことになるスピーチに対して、晴々と「おめでとうございます」の声。当時は当然のように世界中が自国のリーダーの声に従っていたとはいえ、親世代の第二次世界大戦の話。大変複雑な心境になってしまった。この映画は、昔の王様とある庶民の「おとぎ話」として見るのがいいのかもしれない。 そして思った。スピーチは内容云々以前に、「誰が話すか」が大切なのだなぁ。

2 件のコメント:

  1. ヘレナ・ボナム・カーターは確か良家の子女なんですよね。母親が貴族出身だとか...何かで読んだことがあります。まっとうな役がこなせる人ですよね。
    「眺めのいい部屋」の彼女は好きでした。
    ガイ・ピアーズもでているんですか。
    楽しみです。

    エリザベス女王のご両親は仲が良かったんですね。

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  2. エリリンさん、

    そうらしいですね、ヘレナ=ボエム・カーター。懐かしいなぁ、「眺めのいい部屋」は俳優座のシネマテンで見ました。ダニエル・デイ・ルイス、マギー・スミス。ジュリアン・サンズは何をしているのでしょうか。

    映画化するに当たり、スペンサー夫人と結婚したウィンザー公、チャーチル、ジョージ5世との関係など史実を脚色しているそうです。(とはいっても本当のことは誰もわかりませんけども。)上品な(?)高貴な(?)主人公と、彼を取り巻く善の部分に光を当てたコメディであるところが、この映画の好かれる理由だと思います。

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