”トレインスポッテイング”の監督ダニー・ボイルが撮ったSF映画。太陽の威力が衰えて地球滅亡を待つばかりの人類は、地上すべての核をかき集めて作った爆弾を太陽に投下して、もう一度太陽を再生しようとする。2度と失敗が許されないミッションを受けた8人のクルーが、核爆弾を搭載した宇宙船で太陽に向かって飛び立つ。その途中、ある信号を受信し少しずつ人間関係も計画にもずれが生じ始めてくる、というお話。
全編を流れる、グワ~ン、グワ~ン、キ~ン、キ~ンという宇宙船の機械音やら、サブリミナル効果がとてつもなく広い宇宙の孤独を感じさせる。宇宙船キャプテンの真田さんはすっきりとして落ち着きがあり、かっこよい。ミッシェル・ヨーさんもノーメイク(っぽいメイク?)で存在感ばっちり。主役のキリアン・マーフィーは、本来はマッチョであるはずの役を、植物的に透明な青い目で淡々と演じている。ハリウッドっだったら昔のハリソン・フォードとかブルース・ウイルスがやりそうな役なんだけどね。
究極の選択を迫られたとき人はどうするか、ってところを無理なく繋げている。そんな場面の繰り返しと言ってもいいかもしれない。すべての計画がずれ始めるはじめの選択を、民主主義(多数決)ではなく科学的根拠と可能性に基づいて物事を決めるわけだが、その後は個々でその時々に自分の倫理に従って決断を下していく。自分、集団、そして人類のどれを優先させるかという、いわば理性と感情のぶつかりあい。つらいのだ、実に。ストーリーも息詰まる展開だが、登場人物のス~、ハ~、ス~、ハ~というこれまた苦しそうな呼吸を聞いていると、こちらまでまで息苦しくなる。(”アビス”を見たときと同じくらい。)しかも有楽町スバル座は天井が低くいし。
それにしても。宇宙飛行士は偉い。知性と体力と精神力はもちろん夢とロマンと勇気が人並みではないのだろう。(・・あ、でもNASAですごい女性宇宙飛行士もいたけどね。)4月24日には20光年彼方に地球に似た惑星が発見されたとニュースにあった。私たちは孤独ではないのかもしれない。
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