2012年3月5日月曜日

ヒューゴの不思議な発明    HUGO

後ろに「不思議な発明」が付いているもんだから、アカデミー作品賞に子ども向けの3D映画かぁ、大御所スコセッシ監督だからかな?位にしか思ってなかった。しか~し、完全に裏切られた、いい意味で!

終盤のジョルジュ・メリエスの映画のシーンは特に素晴らしい。メリエス以外にも映画の草創期に生まれた”マジック”を、スコセッシ監督はいくつもの仕掛けをして、この”HUGO”の中に重ね合わせて描いている。スコセッシ監督の、先達への真直ぐな敬愛の念は心が洗われるし、ただ映画が好きでひたすら撮り続けているのであろう謙虚な姿には胸が熱くなる。ああ、泣ける。スコセッシの映画は美しくてしっかり見ていたいのだけれど、何しろ名作ト言われる作品は、突然血みどろが始まる。「タクシードライバー」「グッドフェローズ」「カジノ」・・・。思っても見なかった、コワイ思いをせずに、しかも涙で見ることができるとは!

老人と若者、100年前の動く絵画を見た人たちと今の3Dを見る人たち、世代を超えて、時代を超えて、それぞれの立ち位置で同じ感動を共有する、まさしく映画の醍醐味が余すところなく伝わる最高の映画。いつの時代も、見つけ出し、それを育て、送り出し、語り継いでいくのは若い世代なのだ。スコセッシ監督の子どもたちへのなんと優しいメッセージだろう。そういう意味では子ども向けの映画でもある。

私はなぜに映画館に足を運ぶのか。たかが映画、されど映画・・・。
これを見逃したら、損。

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