2010年8月23日月曜日

カッコイイ人たち

2日ほど夏バテで家にこもっていたおかげで、「地下室のメロディー」と「シシリアン」をウン十年ぶりに見ることができた。2作品とも監督:アンリ・ベルヌイユ、ジャン・ギャバン、アラン・ドロン。

大まかな話の骨組みは2作品とも似ていて、ジャン・ギャバンが大物老ギャング、アラン・ドロンが血の気の多い駆け出しギャングという設定。1人では大仕事ができなくなってしまった老ギャングが、あまり信用できない若ギャングの手を借りて仕事をするのだが、小さなミスが足を引っ張りやがて・・・、というお話。

40年ほど前のこの時代は、今であれば”まさか”と思うようなアナログ強奪が成功してしまう。経験がものを言う職人(?)の世界が存在しているのだ。難しいIT技術や新兵器を使いこなす現代の犯罪劇と比べると、ジャン・ギャバンの威厳に満ちた老人がチェスのコマのように若者を操る姿が新鮮に目に映る。コンピューターを駆使しなくても、新型兵器を持たずとも大仕事ができるのだ。酸いも甘いも噛み分けたミニマムな顔の表情と低い声が何とも渋い、かっこいい。

一方、ハンサムで軽薄なほとんどチンピラの若者を、美しいアラン・ドロンがニヒルに演じている。いまさらながらに気が付いたのだけど、彼は大変運動神経がいい。ハンサムなだけでなくかなり鍛えられている。パリがまだ日本人の遠い憧れの街であった頃の、日本人女性の王子様だった。

この2人以外もカッコイイ人がいっぱい、「地下室・・」ではジャン・ギャバンが出所してきて、妻(ヴィヴィアンヌ・ロマンス)と久々に再会したときの淡々とした会話が実にいい。じっくりと熟成されたワインのよう、あんな女性にあこがれる。・・・来世で目指そう。
「シシリアン」にはもうひとり忘れてはならない俳優、刑事役のリノ・ヴァンチェラ。考えてみるとリノ・ヴァンチェラなんて、既に名前からしてかっこいい。タバコは嫌いだけれど、もし彼のように吸ってくれたら許す、どころかもう一本!って頼んでしまうだろう。

ミシェル・マーニュ作曲の「地下室のメロディー」は粋な男達を盛り上げ、エンリオ・モリコーネ作曲の「シシリアン」のテーマ曲は胸に沁みる。

4 件のコメント:

  1. アラン・ドロンとリノ・バンチュラ&ジョアナ・シムカスの「冒険者たち」は観ましたか?

    3人それぞれがとっても素敵ですよ〜〜♪
    音楽もグ〜〜です。

    アラン・ドロンは私ずっと好きです。
    一番好きな映画は「太陽がいっぱい」
    美しすぎる〜〜〜〜!!!

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  2. エリリンさん、こんにちは。
    見ました!がっ、情けないことに映画の中身が全くうろ覚えで、記事を書きながらちゃんと見直さなくてはと思っていたところです。

    アラン・ドロンは若いころの私の好みではなかったようです。今考えてみるにきっと美しすぎたのでしょう。「太陽がいっぱい」ではヒロインのロミー・シュナイダーより美しかったですね。フランス人ではジャン・ルイ・トランティニアンのようなちょっと暗めやジャン・ポール・ベルモンドのような崩れた(失礼!)人が好きでした。

    しかし見直してみるものですね、今頃アラン・ドロンの魅力に気が付きました。顔だけではないのは「山猫」を見たとき気が付いていたはずなんですが。「冒険者たち」絶対見直してみます。ありがとうございました!

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  3. フランス人は渋くて素敵な人がいますよね!
    美青年も好きですが渋い男の良さが
    わかるようになりました♪
    「冒険者たち」で若いのになんでJ・シムカスがおじさん(失礼!)リノ・ヴァンチュラを好きになるんだろうと不思議だったのですが
    大人になってから見直したときにわかりました。
    包容力があって素敵でした。アラン様がひ弱なヒヨッコに見える時がありました。

    ロミー・シュナイダーで思い出しましたが
    「サン・スーシの女」好きな映画です。
    ヴァイオリンの曲も歌も旋律が美しいです。
    歌を[You tube」で探しているのですがなかなか出てこないの.....

    アンナ・カリーナも「ぼくセザール...」に出ていましたね。
    ジャンヌ・モローも好きなのですが
    最近映画に出ているかご存じですか?

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  4. ジャンヌ・モローは日本未公開ですがでてらっしゃるようです。http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=18052
    トリフォーが好きで白黒でたくさん見ましたが、リアルタイムで見たのは「ニキータ」が最後でしょうか。この方が生きている限り、カトリーヌ・ドヌーブは女王にはなれそうにないですね。

    フランスの女優さんはいいですね。葡萄が干しブドウになってもワインになってもいつも最高の味が楽しめる。その味がわかる成熟した社会なんだと思います。だから映画を見てる方もたくさんの楽しみ方ができます。

    「サン・スーシーの女」は見ていません。必見リストに追加しました。アンナ・カリーナはゴダールのミューズですね!実はこちらも「気狂いピエロ」しか見てないんです。見なくてはいけない映画がたくさん!いろいろ教えてください。

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