東京では銀座の東劇だけ。よく覚えていないけれど15年以上前、「東京物語」の英語字幕版をオットと見て以来だ。その間にすっかりシネコンが浸透してしまったが、東劇は時が止まったよう。切符売り場のお姉さんはとっても丁寧だし、コンセッションの従業員もきちっとしている。さすが松竹さんだ。何よりもその内装、ロビーは床から壁まで懐かしいにおいがいっぱい。なんとなくうら悲しい黄色いハンカチのディスプレイとロビーの一角を占拠しているマッサージチェアー(写真左奥)が何やら不思議な雰囲気を盛りあげる。観客の平均年齢も高そうだ。おそらく65、いや70歳は超えている、おおげさじゃなく。(ワカを除き)もしかしたら私たちでさえ一番若いかも・・・。
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花まるはゴーディ役のエディ・レッドメイン。またまたすごい英国人俳優登場。今年舞台では「Red」でローレンス・オリヴィエ賞とトニー賞を英米で受賞。名門イートン校でウィリアム王子と同級生、ケンブリッジを卒業というおぼっちゃまにはとても見えない。一つ間違えればタダのうっとうしい若者で終わりそうなところを、その人となりをまるまる理解させるだけの説得力を持った演技。オリジナルバージョンを見たときは、この青年役はうっとうしいままだった・・。ごめんなさい!オリジナルと言えば忘れてはいけない人、桃井かおりがモーテルの店番の役で登場。堂々としてる。 リメイク版での娘役マーティーンのクリスティン・スチュワートはちょっとすねた女の子を好演している。「トワイライト」のベラとあんまり変わらないけど。
主演のウィリアム・ハートには難しくない役柄だったであろうが、さすがと息をのんだのは、黄色いハンカチを見たときの表情。沈黙でセリフを語る、円熟の極みであった。
レトロな東劇で静かな物語。お勧め。
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